2024年6月24日(月)

バイデンのアメリカ

2024年2月8日

トランプの〝弱点〟突く可能性も

 米大手メディアもここに来て、〝スウィフト旋風〟でざわめき始めた背景には、接戦が予想される今年11月の大統領選挙で、若者を中心する無党派層の投票動向が重要なカギになると見ているからに他ならない。

 去る1月12日に発表された最新Gallup世論調査結果によると、全米有権者のうち43%が「無党派」と回答したのに対し、「民主党」「共和党」支持層はいずれも27%にとどまっていることが明らかになった。

 しかも、先月、共和党指名候補争いのニューハンプシャー予備選では、トランプ氏が圧勝したものの、「無党派層」の得票数では、トランプ氏が39%だったのに対し、ニッキー・ヘイリー候補が58%と大差をつけたことや、ヘイリー支持者の90%近くが「トランプが指名候補となっても本選で彼に投票しない」と答えたことなどが報じられ、トランプ氏の〝弱点〟がにわかに露呈した形となったばかりだ。

 そこで民主党陣営内では、トランプ氏との本選での対決で、こうした「無党派層」の掘り起こしこそが、勝敗の重大な分かれ目になるとの見方が広がりつつある。この点でも、「無党派層」の大半を占める若者に絶大な影響力を持つスウィフトさんの存在は、同党にとってますます無視できなくなっている。

 政治メディア「The Hill」は去る1月31日、選挙事情通による以下のような解説記事を掲載している:

 「老人2人の候補同士で争われるとみられる今年の大統領選挙は、全米一の知名度を誇る34歳の女性によって揺さぶられる可能性が出てきた」

 「テイラー・スウィフトさんは、天文学的人気と政治問題で自説を吐露する意思を自ら備えているだけに、24年選挙での重要なプレイヤーとなりうる。バイデン再選チームもすでに彼女からの支持取り付けに積極的に動き出したと報じられており、もし、実際に支持表明することになった場合、若年有権者の間で81歳のバイデン氏への熱意を大きく盛り立てることにもなるだろう」

 「このため、保守系メディアの彼女に対する反感と警戒も最近エスカレートしつつあり、『Newsmax』のアンカーマンが『スウィフト偶像崇拝は、聖書の教えに従えば原罪に値する』とコメントしたほか、『One America News』司会者が『彼女は、(右翼がかねてから目の敵にしてきた)リベラル派の富豪ジョージ・ソロスの子飼いだ』と酷評するなど、低次元の舌戦に乗り出している」

 「それほどの彼女がもし、11月大統領選に向け実際に政治的発言をし始めた場合、これまで政治に無関心だった多くの若い有権者たちを投票所に駆り立てる効果は計り知れず、選挙結果にもインパクトを与えることになるだろう」

スーパーボウルにも例年以上に注目

 一方、スウィフトさんの動向と関連して、恋仲のトラビス・ケルシー選手が出場する11日のラスベガスでのスーパーボウルにも異常なほどの関心が集まっており、チケット価格も最も安い席で約8100ドル、平均価格も過去の最高値を上回る9700ドルにも達していると報じられている。試合でスウィストさんが応援に駆け付けるとみられていることも、人気を盛り上げる効果を生んでいるという。

 それにしても、結果次第では世界中に重大な影響を与える今回の米大統領選挙――。ともに史上最高齢で、しかも現役、前任の大統領同士がリターンマッチを演じるだけでなく、それにからみ一人の女性エンタテイナーの一挙手一投足に全米の視線が注がれるという点でも、まさに空前絶後の異例の歴史的イベントとなることは間違いない。

 なお、トランプ氏はスーパーボウルで全米が沸き立った11日、スウィフトさんに対し、(大統領選で)バイデン氏を支持しないよう自らのSNSで呼びかけた。試合会場にスウィフトさんがかけつけ、スィートルームでケルシー選手を熱心に応援するシーンがTV中継で何度も映し出され、全米で1億人以上が視聴したことにいらだったとみられる。

 11月の投票日に向けて、スウィフトさんの動向はますます注目を浴びることになりそうだ。

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