2024年11月26日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年2月16日

 バイデン政権がイスラエル等で手一杯になり、大統領選挙が近づく中、北朝鮮と中国は機会が来たと信じるかもしれない。北朝鮮の人民を結集させ、憲法を変え、再統一の制度を撤廃し、金はそのための準備をしている可能性がある。

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 ボルトンらしい論説である。論旨は明快で、今回の金正恩の南北朝鮮関係についての政策変更を重視し、その危険を解説している。戦争を避けるつもりはないと金正恩は明言しているので、それなりに警戒心を持つべきであろう。しかし吠え立てる犬は嚙みつかないという見方もあり、それほど心配することはないとも考えられる。

 南北朝鮮の間の同族意識はかなり強いところがあり、韓国の世論、特に左派の世論形成に大きな意味を持ってきた。金正恩が韓国を主要な敵と規定したことは、韓国の世論で北朝鮮に宥和政策を主張してきた勢力には打撃になり、彼らの韓国での主張を掘り崩す効果を持つ。

 愛憎が交錯する韓国での対北世論は、対北憎悪の比重が増えてきて、対北政策はより現実を踏まえたものになる可能性がある。これは、歓迎されることである。

韓国の反日感情を抑える側面

 こういうことが起こってきたのは、尹大統領就任以来、韓国が日米両国との関係の改善にかじを切ったことが背景としてある。日韓関係についても、徴用工問題での判決など、摩擦のもとになることはあるが、日米韓の3国協力を進めていくことが今は優先されるべき課題であると考えられる。

 ボルトンは、金正恩の政策変更に危険を見ている。それを否定はしないが、この政策変更は、韓国国内での北朝鮮シンパの発言力を弱めるものであり、反日の統一戦線がしにくくなったということでは、地政学的には良い面もあると思われる。

 金日成が同族意識を再統一への主たる根拠としたのは正しく、それを否定した金正恩の今回の決定は、北朝鮮にとっては将来に禍根を残す可能性があると思われる。

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