2024年7月15日(月)

古希バックパッカー海外放浪記

2023年12月17日

『2023.7.3~9.20 80日間 総費用26万円(優待航空券1万5000円含む)』

四半世紀前に聞いた韓国女性の北朝鮮論

漢江河口付近のサイクリングロード。漢江からの朝鮮工作員の侵入を防ぐ有刺鉄線で覆われている。朝鮮戦争は停戦しているだけで過去形ではないと思い起こさせる

 以前から気になっていた疑問がある。果たして現代の韓国人は北朝鮮をどのように思っているのだろう。25年前パキスタンの古代遺跡モヘンジョダロで若い聡明な韓国女性に会った。筆者は出張中の休日を利用してカラチからモヘンジョダロを日帰り訪問。彼女はソウルから中国、東南アジア、インドを経て西回りで世界一周する途上であった。

 彼女によると「金正日指導部や国家としての北朝鮮は完全否定すべき存在ですが、北朝鮮民衆は同胞であり、圧政の下で生きている可哀そうな存在」という認識であった。他方で南北統一については「親族が北で暮らしている老人世代は南北統一を望んでいるかもしれません。しかし、大多数の韓国人は南北統一による韓国の経済負担を懸念しており、南北統一を望まないというのが本心だと思います」と語っていた。

 四半世紀後の現在ではどうなのだろうか?

韓国人にとって北朝鮮は現実的脅威ではないのか?

 韓国で“韓国にとり軍事的脅威となる国はどこか”という意識調査や世論調査をすると、常に北朝鮮が第1位であり2位は日本という調査結果になるという。今回の韓国旅行中に韓国人に北朝鮮について聞いた限りでは、北朝鮮の脅威を身近に感じていると、話す人はほぼ皆無であった。

 むしろ「北朝鮮は経済的に破綻寸前だから韓国を攻める余裕はない」「北朝鮮の核開発・ミサイル開発は米国を対象としたもので韓国を狙っているものではない」というような意見が多かった。

 また「同じ民族同胞が武力行使するはずがない」という素朴な楽観論も少なからず聞いた。

 7月18日。論山の灌燭寺の東屋に観光に来ていた韓国人一家が雨宿りに来た。奥さんは高校の日本語教師。北朝鮮の軍事的脅威については「韓国人は心配していません。北朝鮮には韓国に戦争を仕掛ける経済的余裕がなく、国営放送で吠えているだけです」と一刀両断。

 彼女の意見は筆者が聞いた限りの韓国人の平均値のように思う。

 7月21日。ソウルから故郷にUターンして益山市郊外の春浦チュンポでカフェとゲストハウスを経営するZ氏は北朝鮮の近未来について、「米韓日がいくら軍事的圧力をかけて経済制裁を継続しても北朝鮮が融和的になることはあり得ない。中国・ロシアがバックにある限り北朝鮮は現行体制を維持して核・ミサイル開発を進めるだろう」として、良い方向への変化は望めないと断言した。

 そして「韓国人の多くは核・ミサイル開発の標的は、米国および在日米軍であると理解している」という。さらに「一般の韓国市民は北朝鮮が韓国に軍事侵攻するのは、経済的に不可能と楽観している。さらに、同じ民族の同胞という感情論から北朝鮮の軍事侵攻の可能性を否定する」。

 こうした韓国人のフツウの人々の心理を利用して「左翼的メディアや野党の政治家は米国と日本が北朝鮮の脅威を煽っていると批判している」と分析した。

日本は軍備拡大・軍国主義復活を隠すために北朝鮮脅威論を誇張している?

旧東洋拓殖会社の木浦支店は現在では木浦近代歴史観2号館となっている。大日本帝国の朝鮮経営の国策会社。株主は日本の皇族・華族・資本家だけで なく、朝鮮の旧王族・貴族・大地主なども出資

 日本が北朝鮮脅威論を煽っているという批判は、かなり韓国社会に浸透している言説である。2017年5月の韓国大統領選挙の直前に、インドのダージリンのホステルで偶然同宿になった韓国人若者3人(19歳学生、21歳元学生のフリーター、28歳看護婦)との激論を思い出す。

 彼らは口を揃えて対日非難。曰く、「安倍は北朝鮮の核実験・ミサイル発射に過剰に反応して北朝鮮脅威論を国際的に拡散している。安倍および日本は、日本の急激な軍備拡張に対するアジア諸国の非難を躱すために北朝鮮問題を利用している。日本の軍国主義復活を韓国民は懸念している」。

 今回の韓国訪問でも同様な趣旨の意見はしばしば耳にした。やはり韓国にとり日本は仮想敵国なのだろうか。

反日無罪という法治国家ではあり得ない法理

 少し話が寄り道になるが、“日本が仮想敵国”という韓国人の認識の背景には徹底した“反日正義”がある。韓国には“反日無罪”という法理があるのはご存じだろうか。

 韓国周遊旅行を計画していたら弁護士をしている学生時代のクラスメートから忠告を受けた。韓国では反日という正義感から法律を犯しても情状酌量され無罪になり得るという。例えば、筆者が歴史認識について韓国人と口論になり興奮した相手に殴られ怪我をしても、当の韓国人は罪に問われないから用心しろとのアドバイスであった。

 裁判で情状酌量を認められ執行猶予になるだろうし、犯人に社会から広く同情が集まるから社会的制裁も受けず逆に反日愛国者として英雄扱いされるという。


新着記事

»もっと見る