2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年2月16日

 ジョン・ボルトン元米国家安全保障担当大統領補佐官が、2024年1月24日付のウォールストリート・ジャーナル紙に、「金正恩が仮面を脱ぐ。北朝鮮は公式“平和的再統一”を完全支配のために拒絶する」との論説を書いている。

(stockdevil/gettyimages)

 金正恩は先週、朝鮮半島の平和的統一を求めることはしないと表明した。北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)で核弾頭を届ける能力をほぼ開発した今、金は、北朝鮮の「憲法」から平和的再統一への言及を一掃し、この問題を取り扱う政府組織を撤廃すると発表した。朝鮮半島には二つの国家があることを事実上認め、戦争が起こった場合、北朝鮮は「韓国を完全に占領し従属させ、われわれの共和国の領土の一部として併合する」計画であると述べた。 

 彼の言辞は、韓国の左派のデタントと宥和を求める「太陽政策」が間違っているのみならず、危険であることを暴露した。金は、韓国を北朝鮮の「第1の変わらない主要な敵」であると述べた。

 騙されやすい韓国と米国の指導者は、北朝鮮は攻撃される恐怖ゆえに、核兵器を追求しているとの北朝鮮の主張を受け入れてきた。彼らは金王朝が核を放棄するように説得するためには米国が北朝鮮に対して「敵対的意図」を持っていないと証明することであると考えていた。

 この議論は北朝鮮の政権は再統一を北が南を吸収して行う考えであることを把握し損なった。北朝鮮は、韓国の同盟国や隣国を核兵器で脅し、韓国からの米軍撤退を求めた。金は侵攻の際に米国が韓国を見捨てるように説得したがっていた。

 金らは鄧小平の「隠して時を待つ」方法に倣い、核、ミサイル計画の進展を隠し、米国での御しやすい政権を待つ方法を取ってきた。今日、北朝鮮は弱いバイデン、あるいは無責任なトランプを見て、自分たちの時が来たと考えている。

 ソ連崩壊後、北朝鮮でのロシアの影響力は弱まり、北朝鮮は生き残りのために中国に依存した。いまは核能力とその運搬手段を持ち、ウクライナでのロシアの失敗は関係の再編の機会を与え、金はそれを利用し重要な時期にロシアに武器援助をした。プーチンは「早期に」北朝鮮を訪問する計画を発表した。


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