ゼレンスキー氏の支持率について、ヤリ氏はこう解説した。
「ゼレンスキー氏の支持率は確かに低下しているが、それはわずかだといえる。大多数の人は現時点でもゼレンスキー氏を支持しており、現時点でも、(ウクライナ国内で)トップの政治家であることは間違いない」
ゼレンスキー氏の支持率をめぐっては、同じ調査において94%もの支持率を示したのが、ワレリー・ザルジニー前軍総司令官だ。ザルジニー氏は2月上旬までに、司令部の刷新を理由に解任された。一昨年のハルキウ州の奪還作戦などを指揮したザルジニー氏は国民的人気を集めており、その解任は国民に衝撃を与えた。
ザルジニー氏が解任された理由をめぐり、ヤリ氏は「次期大統領選出馬への野心が背景のひとつであったことは間違いない」と指摘した。ヤリ氏は「彼が(反抗作戦で)戦況を変えられる戦術を提供しなかったことが、最重要の要因だった」とも解説したが、戦況に大きく影響しかねない最高司令官の交代の背景に、内政の混乱があったのだとすれば、ゼレンスキー政権に対する人々の捉え方に影響を及ぼす可能性は否定できない。
問われているのは〝あなた〟
15万人ともいわれる死傷者を出しつつ、2年にもわたりロシアに抗い続けるウクライナ。そのウクライナの国民の7割超が依然としてロシアに徹底抗戦をする考えでいることは、驚異的ですらある。
ゼレンスキー氏はミュンヘン安保会議で、各国代表らにこう訴えた。
「皆さんにお願いしたい。ウクライナに、この戦争がいつ終わるかを聞かないでいただきたい。皆さん自身が、自分にこう問いかけてほしい。〝なぜ〟プーチンは、この戦争を継続することができるのかということを」
揺らぐウクライナの人々を支える国際社会の意思が、今こそ試されている。