2024年11月22日(金)

2024年米大統領選挙への道

2024年3月2日

バイデン陣営の高齢問題対策

 今後、バイデン陣営は新たなバイデン大統領の高齢問題対策を打ってくることは間違いない。主として、以下の3つの対策が考えらえる。

 第1に、「役割分担」である。これは、高齢問題の中の体力の衰えに対する補完である。同時に、選挙運動を効率的に行うためには、不可欠な人材の活用法でもある。

 米国の選挙キャンペーンは、体力的に中年候補者にとっても過酷なスケジュールであることはつとに知られている。

 バイデン陣営はバラク・オバマ元大統領(あるいは夫妻)を選挙戦に投入するだろう。特に、バイデン大統領が支持獲得に苦戦しているヒスパニック系の人口が多い西部ネバダ州とアリゾナ州においてオバマ元大統領を使う公算が大きい。

 オバマ元大統領はヒスパニック系から人気が高いのに加えて、アフリカ系および若者からも支持がある。バイデン陣営は、同元大統領が、バイデン大統領が失っているヒスパニック系と若者およびアフリカ系の票を取り戻してくれることを期待している。

 また、今回の大統領選挙では人工妊娠中絶の権利復活が争点になっている。米連邦最高裁判所は、トランプ前大統領が任命した3人を含む6人の保守系判事対3人のリベラル系判事――その構成でなる。

 米連邦最高裁判所は2022年6月、人工妊娠中絶の権利を覆した。この判決は、リベラル派の女性だけでなく、共和党の女性の一部を巻き込み、全米で保守派の男性が想像をはるかに超える拒否反応を起こした。

 そこで、カマラ・ハリス副大統領は、人工妊娠中絶擁護の権利を支持するアフリカ系とヒスパニック系の集票に乗り出した。アフリカ系とヒスパニック系に人工妊娠中絶を行う女性が多いからだ。バイデン大統領は白人男性で、カトリック教徒であるにもかかわらず、人工妊娠中絶容認派である。

 バイデン陣営は、バイデン陣営が人工妊娠中絶の権利復活を求めて全面に出るよりも、ハリス副大統領がその役割を果たすのに適任と判断したからである。バイデン陣営におけるハリスの価値は高まっている。

 さらに、ジル夫人も連邦最高裁判所が覆した人工妊娠中絶の権利復活を求めて、勝敗の鍵を握る「郊外の女性」に訴えかけるだろう。

 バイデン陣営は、バイデン大統領の選挙スケジュールにオバマ氏やハリス氏などを組み入れて、役割分担を通じて、バイデン氏の負担を軽減することが予想される。


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