2024年11月22日(金)

2024年米大統領選挙への道

2024年3月2日

「有権者の目を意図する争点に向けさせること」

 米NBCニュースの世論調査(23年9月15~19日実施)では、現在「バイデン大統領の高齢」は、「トランプ前大統領の訴追」よりも、米国民の懸念材料になっていることが明らかになった。高齢問題対策の第2は、有権者の目を陣営の意図する争点に向けさせることである。11月5日の投開票日が近づけば、有権者は選択を迫られる。

 人工妊娠中絶擁護を支持する女性有権者にとって、人工妊娠中絶の権利復活は、バイデン大統領の年齢よりも重要である。同大統領の高齢よりも自身の健康と体の問題を重視するのは当然である。

 そこでバイデン陣営は、人工妊娠中絶の権利復活を主要な争点にして、バイデン大統領の高齢問題から有権者の目をそちらに向けさせる戦略をとる。

「民主主義対権威主義」の構図化

 第3に「民主主義対権威主義」の対立の構図化である。バイデン大統領は演説で「投票用紙に民主主義と書いてある」と支持者に訴えている。つまり、自分と民主主義を重ねてアピールしている。

 2021年1月6日の米議会議事堂襲撃事件は、トランプ前大統領が米国の大統領選挙の慣行に従って、20年米大統領選挙の敗北を認めていれば、起こらなかった事件であり、同日に支持者を扇動する言動をしなければ発生しなかったのであり、民主主義に対する脅威であることは言うまでもない。

 この対立構図を洗練した選挙キャンペーンの展開が、有効になるだろう。米国の価値は正に民主主義であって、原点に戻らなければならないと強調していくことが極めて重要である。「アメリカファースト」とは、「民主主義ファースト」であるべきだ。

 以上、少なくとも3つの戦略でバイデン陣営はバイデン大統領の高齢問題を最小限に抑えるだろう。

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