エノキタケは長いまま食べると消化できず便に混じることがあるので、エノキタケダイエットでは、必ず短く切る。天日できつね色になるまで干してから細かく刻み、お湯に溶かして飲む「エノキ茶」、生のエノキタケと水をミキサーにかけてペースト状にし、1時間加熱した「エノキ水」というように、液体にして摂るのが特徴だった。
ダイエット流行の起こり方
12年2月、京都大学農学研究科の研究チームがプレスリリースを出し、「マウスを使った実験で、トマトから中性脂肪改善に有効な成分を発見」と発表した。すると、「トマトにメタボ改善成分」「トマトでダイエット」「トマトで脂肪燃焼」などと新聞や雑誌で取り上げられて、たちまち全国のスーパーマーケットの棚からトマトジュースが消えてしまった。トマトジュースの市場規模は、前年比で2倍をはるかに超え、翌13年も好調が維持された。
しかし、プレスリリースにはどこにも「トマトで痩せる」とは書かれていなかった。成分が発見されたという事実だけで、しかもマウスに効果があっても人にあるとは限らない。
それが誇張され、結果としてフェイクニュースになって世間に広がり、研究者たちには予想外の大ブームと経済効果を生むことになった。ダイエットブームは、ときとしてこんなからくりで起こる。