2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2024年3月18日

 高度経済成長を経て、豊かになった日本人は、自分の健康やスタイルを気にする余裕が出てきたのか、寄せては返す波のように、新種のダイエットが流行しては消え、を繰り返すようになった。『熱狂と欲望のヘルシーフード』では、ダイエットの流行のからくりとその社会背景を詳しく見ている。
 今回の記事では2000年代に流行した「単品ダイエット」について取り上げたい。「単品ダイエット」とは、「これさえ食べれば痩せる」「そればっかり食べて痩せる」という方法であり、簡単で取り組むハードルが低いが、それしか食べないと栄養が偏って健康を損なうリスクが高いといえる。(本記事は著書『熱狂と欲望のヘルシーフード』(ウェッジ)より一部抜粋)。
 

伝統食材・寒天が大ブームに

 2000年代に入っても単品ダイエットの人気は衰えることを知らず、続々と登場して流行を繰り返した。

 そのなかでも、流行の規模が大きかったのが「寒天ダイエット」。きっかけは2005年2月の『ためしてガッテン』と6月の『発掘!あるある大事典』といわれているが、それ以前から医師の鎌田實が「トマト寒天」で8キロ痩せたことを新聞や雑誌に書き、話題になっていた。

 鎌田いわく、トマト寒天のすぐれた点は、リバウンドしないこと。外食が続いて2、3キロ太っても、トマト寒天を3日食べるとすぐ元に戻るという。

 社会運動家としても尊敬を集める鎌田が「健康を維持するには、がまんしないで長く続けられる、がんばらないダイエットが一番です」と、トマト寒天をすすめた威力は絶大だった。テレビに出演して寒天のことを語るやいなや、名産地の長野県茅野市では1年分の寒天が売り切れたそうだ。

 海藻のテングサやオゴノリなどが原料の寒天は、江戸時代から日常的に使われる凝固剤である。棒寒天1本(10グラム)で500ミリリットル(㎖)の水分が固まり、カロリーはないのに腹持ちがよく、8グラムの食物繊維が摂れる。

 古くは「おなかの砂下ろし」と呼ばれて便秘の特効薬だったくらいで、こればっかり食べていたら当然、痩せるはず。食べすぎると、下痢をするくらいだ。

 不思議なのは、痩身効果があることは前から分かっていた伝統食材の寒天が、あらためて大型ブームを起こしたことである。もしかして日本人は、寒天の存在を忘れかけていたのだろうか。


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