2024年11月22日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2024年3月17日

白夜に聞いた美男美女カップルの描く未来

モスクワ市内の駅前で寝ているホームレス。ロシアでも夏場は野外で寝ても 寒くない。冬場はウオッカを呷って路上で倒れていたホームレスもいたが誰も声を掛けない

 2003年夏、投宿しているホテルの隣の公園のカフェテラスで夕焼けを眺めながらビールを飲んでいた。ふと気がつくと奥のテーブルに若いカップルがいた。2人とも思わず振り返ってしまうほどのブロンズの美男美女である。なにか映画のワンシーンを見ているようだった。

 男性は若き日のアラン・ドロンを彷彿とさせる美貌でちょっとワルそうな感じもする。女性は典型的ロシア美人で彼に首ったけという恋愛オーラが漂っていた。当時のモスクワの状況から考えて夜の女とヤクザのヒモのようにも思えた。

 しばらくすると女性が筆者のテーブルに来て「失礼ですがあの男性が貴方とお話ししたいと言っています」とキレイな英語で話した。やはり想像どおりだったと思ったが、話を聞かずに断るのは紳士道に反すると思い直し女性に勧められるままに男性の前の椅子に座った。

「彼は英語が全く話せないので私が通訳します」と女性は男性と筆者の間の椅子に腰かけた。彼はロシア語で自己紹介を始めた。彼女が必死に単語を探しながら筆者に顔を近づけて通訳する。ビールを飲みながら黄昏時に甘い発音の英語を聞きながらブロンズ美女と至近距離で会話するというのは当時50歳のオジサンにとり至福であった。

 あらましは以下のようだ。

「自分はIT関係の事業を友人と2人で立ち上げたばかりで毎日睡眠時間を削って仕事をしている。女性は婚約者で事業が軌道に乗ったら結婚する予定。今日は久しぶりに時間が取れたのでデートしている。貴方は日本のビジネスマンとお見受けした。われわれは世界に関する情報も少なくビジネスの経験もない。お時間を頂けるならご教示を賜りたい。

 そして、“ロシアの現状を世界はどう見ているのか”、“ロシアの未来について世界はどう予測しているのか”、“日本はなぜ高度経済成長して短期間で先進国になれたのか”というような質問からどんどん話が広がり白夜が終わる深夜3時まで徹底討論してしまった。将来の夢を持った若い人と会話をするのは間違いなく楽しく心が弾む。

 あの白夜から21年が経過した。果たして2人は3月17日までのロシア大統領選挙でプーチンに対してどのような審判を下したのだろうか。

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