2024年5月10日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年3月25日

 この発言は脅迫的で感心しないが、同国には今深刻な財政危機に直面しているという事情がある。米国の資金支払まで信託基金を取り崩して保健等当面の必要をカバーしているという。

 チャンは、パラオの状況が急迫していると言う。22年末、米国はOTHレーダーのパラオ設置を発表、目下建設中だ(26年に完成予定)。今秋の選挙が近づくにつれ、これが国内政治議論に発展している。

 反対派は、レーダーは中国による最初の攻撃標的になると主張。米国育ちで親米のホイップス大統領は昨年9月、米国に中国による攻撃からパラオ住民を守るためとしてパトリオット部隊の恒常展開を要請した。

 しかし11月、パラオ上院はこの部隊の展開を拒否する決議を採択した。親中の上院議長ボールズが反対派を主導しているらしい。反対派の裏には中国の介入があるとの見方もある。

 これらの状況はソロモン諸島と似通っている。十分注意する必要がある。

経済発展は至難でも、支援は必要

 太平洋が中国拡張主義と権威主義化の大洋になることは防がねばならない。島嶼国の経済発展は至難に思われるが、最近島嶼国への世界の関心は、欧州を含め強まっている。

 ミクロネシア連邦のポンペイに最近開設された国連統合事務所も益々拡大の予定だと言う。日米豪等が連携、支援をもっと強めることが必要だろう。またそれが長期に亘ることも覚悟せねばならない。

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