2024年11月28日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年11月19日

 日本に住んでいた朱建栄教授もまだ釈放されていません。彼は最近特別に新しいことを言ったわけではありません。従来ならば大目に見られたことが見られないような状況となっていると判断されます。夏教授迫害の理由の中に、「08憲章」支持も入っていることも、それを示唆します。

 もう1つ注目すべきは、この社説も例を挙げて指摘しているように、このような傾向を咎める西側の反応の弱さです。

 かつては、米国大統領の訪中があるごとに、中国側は一時的にでも反体制運動者を釈放するジェスチャーを示しましたが、それをしなくなってから既に久しくなります。本年6月のカリフォルニアにおける米中首脳会談では、中国の人権問題が取り上げられた形跡は無く、まして、中国側が、一時的にでも、それに対応して人権抑圧を緩和する国内措置を取ったことはありませんでした。

 人権問題は、従来は、議会における民主党の旗印でした。民主党多数の頃のぺロシ下院議長などは、その最たるものでした。しかしオバマ政権になって最初の訪中(2009年11月)では、民主党自身が、その旗を降ろしています。

 人権問題は、外交カードとしての技術的な面だけから見ても、米国及び西側が優位にある有効なカードであることを考えると、それを放棄するのはもったいない感を禁じ得ません。まして、アメリカが、価値観の国であると主張し続けるかぎり、中国との外交において、人権問題は放棄すべきではないと思います。

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