フィナンシャルタイムズ紙の3月27日付け解説記事‘How the Taliban’s return made Afghanistan a hub for global jihadis’紙は、2021年にアフガニスタンでタリバンが復権して以来、タリバンは、「イスラム国ホラサーン州」(ISIS-K)の鎮圧を行っているが、ISIS-Kは、イランやモスクワでの大規模テロの様に国外でのテロを活発化させており、特に今年の夏のパリ・オリンピックは要注意だ、と指摘している。要旨は次の通り。
アフガニスタンが関係する国際的なテロの波が再び高まっていることが各国を警戒させている。西側政府関係者は、3月22日のモスクワでのテロについてISIS-Kを非難している。ISIS-Kは、アフガニスタンを根拠地とする中東のイスラム過激派であり、タリバンとも敵対している。
タリバンは2021年の復権以来、ISIS-Kに対して血まみれの掃討戦を行っているが、ISIS-Kは、米軍の撤退以降、力を強めて国際的なテロを活発化させている。米中央軍司令官は、アフガニスタン由来のテロ、特にISIS-Kによるテロの危険性が高まっており、ISIS-Kは、6カ月以内に米国および西側を攻撃する能力を有していると議会証言している。
欧州の政府関係者もISIS-Kの脅威への警戒を高めている。ドイツの内相は、「ISIS-Kはドイツに対するイスラム過激主義の最大の脅威だ」と述べた。
モスクワのテロをアフガニスタンと結びつける直接の証拠は無いが、専門家は、ローカルなイスラム過激派がタリバンの復権後、より強力になっているという新たな兆候だと述べている。一方、タリバン側は、アフガニスタンをイスラム過激主義者がテロの拠点とすることを認めないと繰り返し述べている。
タリバンは、ISIS-Kを鎮圧しようとしている一方で他のイスラム過激主義者グループに対しては甘いように見える。22年に米国がアルカイダのザワヒリ指導者をカブールで殺害すると西側は、タリバンが彼を庇護していたのではないかという疑念を持った。