上沢はレイズとマイナー契約を結んでいたが、オープン戦4試合の登板で0勝1敗、防御率13.03とふるわず、開幕メジャー入りがかなわなかった。しかし、キャンプ終盤、他球団からメジャー契約の打診があった場合、レイズはメジャー契約か移籍を認めるかを選択しなければない条項を盛り込んでいた。
結果、レッドソックスが獲得に名乗りを挙げたことでトレードが成立した。しかし、メジャー契約とはいえ、藤浪と同様にベンチ入りメンバーを確約するものではなく、傘下の3Aに合流した。
実力だけでないメジャー昇格への道
好条件の契約は、選手が積み重ねた実績の対価である。強豪チームほど、補強で獲得する選手には好待遇の条項が組み込まれており、マイナーで実績を残しても、枠の関係でメジャー昇格の道が開けないことも多い。
実力だけではない要因も選手の入れ替えに影響することがあるのだ。成功を収めた選手が好条件の契約に守られるのに対し、このトップ選手の群れからこぼれ落ちると、はい上がるサバイバルは過酷なものとなるのが、アメリカ野球の現実である。
筒香がこうした厳しい環境に身を置くことになったのは、契約に見合うパフォーマンスを発揮できたなかったからだと言えば、それまでの話である。ただ、日本球界からのラブコールに応えて、好条件での移籍はいつでも可能だったはずである。
メジャーの舞台を目指し、マイナーや独立リーグで苦労を積み重ねた経験が、これからどう生きるのか。まだ32歳。5年ぶりの日本球界での復活劇は十分に期待が持てるだろう。