第三の前向きのニュースは、2月の予算だ。選挙が数カ月先にあるが、大きなバラマキ予算はなかった。財務省は支出抑制に成功した。数年前には債務の爆発が懸念されていた。スタンダード銀行によれば、債務はGDPの約75%程度に抑えられている。
最後に、5月の選挙は一部の予測ほど劇的ではない可能性が高くなった。ANCは農村地域では強い支持があり、全得票率が40%台にまで落ちることはなく、45%以上を確保するだろう。
また野党の分裂も助けになる。そうであれば、ANCは小さな連立パートナーと組んで国を統治できる。副大統領ジュリアス・マレマや彼の急進的な経済自由戦士党が主導権を握ることはない。
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南アフリカがすべき3つのこと
上記の論説でピリングは、南アの状況は最近幾つかの点で好転しているという。南アは、本来もっと立派な国であるべきだ。
ここ10年余、特にズマが大統領になった辺り(09~18年)から、一部急進黒人勢力等による政治の私物化、汚職の蔓延などと、それらの必然の結果としての経済低迷に見舞われた。ズマの後に大統領になったラマポーザも、やや期待外れのように見えた。
問題が余りに大きかったこともあろう。与党の既得権益勢力が強すぎたこともある。しかし、ラマポーザはしっかりした政治家だ。
電力危機への対応においても、鉄道・物流の公社トランスネットの改善においても、民間企業参加の解決策を推進していることは良いことだ。南アにはもともと強力な民間企業が存在した。それらを利用することが重要だ。
政治が不当に経済に介入することは阻止すべきだ。バラマキではなく規律のある予算が成立したことは、既存勢力の介入を抑え、国家財政の規律を守ったことを意味する。
目下注視すべき南アの最大の課題は、第一に上述の経済、第二に5月29日の議会選挙(大統領は議員から互選)、第三は外交、特に対米関係の軋みである。
ズマ政権以後の南ア政治の劣化は、甚だしい。与党ANCの劣化は激しく、ここ数年、与党ANCは過半数を失う可能性が指摘されてきた。