2024年11月21日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月10日

 Economist誌3月16日号の社説‘The Gulf’s scramble for Africa is reshaping the continent’が、最近の経済面及び外交面での湾岸諸国のアフリカ進出の拡大を中国の台頭にとって代わるものとして期待することは、特にアラブ首長国連邦の動きに鑑みれば危険なことだと警告している。要旨は次の通り。

サウジアラビアに到着したカタールのタミム首長(左)を迎えるサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。湾岸諸国がアフリカへ食指を動かす(Saudi Press Agency/ロイター/アフロ)

 冷戦時代、アフリカの指導者たちは、しばしば西側かソ連のいずれか味方し、援助や武器、投資等彼らが望むものを引き出した。冷戦終結後、道路や港湾の建設を望む場合は中国と取引した。

 今日では、ブラジルやインド、トルコなどの中堅大国が経済面及び外交面で進出してきている。しかし、最も衝撃的なのは、アラブ首長国連邦(UAE)、それに次いでサウジアラビアとカタールの突出である。アフリカをめぐる湾岸諸国の影響力争いは、大きな経済的利益をもたらすと同時に恐ろしい戦争の火種にもなりかねない。

 湾岸諸国の影響力はお金に由来する。11月、サウジアラビアは初のアフリカ・サミットを開催し、数十億ドルの投資を発表したが、それさえも 2022年に米国企業の投資の7倍に相当する投資を表明したUAEに比べれば小さく見える。それ以前の10年間は、UAEのアフリカへの投資は、中国、欧州連合(EU)、米国に次いで4位であった。20年と21年、ドバイのサブ・サハラ・アフリカとの貿易額は米国を上回り、ドバイは、財産権の保障が確実で金融規制が緩いこともあり、2万6000以上のアフリカ企業が進出している。

 資金不足に直面するアフリカ諸国にとり注目を浴びることは利益をもたらすだろう。22年までの4年間で、アフリカに供与された中国の新規融資は、その前の4年間に比べ80%も減少し、欧米の援助に占めるアフリカの割合は、ウクライナ戦争の影響で減少している。欧米の政府関係者には、中国の手に渡ってしまうかもしれない鉱山への投資を湾岸諸国が行うことで、そのギャップを埋め、地政学的なライバルを出し抜く手助けになることを期待するものもいる。


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