自動車輸出の方はどうだろうか。円安になったからと言って、輸出している車のドル建ての価格が下がる理由はない。同じドルで売ると、これまで100万円を受け取っていたものが150万円受け取れる訳だから利益は大きくなる。
この時、自動車会社は価格を下げて台数を増やすだろうか。値段を10%下げて売り上げ台数が10%以上増えるなら、すなわち価格×台数の売上額が増えるならそうするかもしれないが、売上額が増えなければ、そうはしないだろう。すなわち、売上額が増える時だけ輸出を増やすだろうから、円安になったときには必ず輸出額は同じか伸びる。
円安が貿易赤字の主因ではない
円安の輸入に対する効果だけを考えるのは誤りで、輸出と輸入の両方を考えないといけない。当たり前の結論だが、当たり前の議論がなされていないときには価値のある結論だろう。
円安が貿易赤字の直接の原因ではない。本質を見た議論をしなければ、日本経済がどうなるかは考えられないのではないだろうか。