2024年11月22日(金)

Wedge2023年8月号特集(少子化対策 )

2024年6月8日

Q2 未婚化が進んだ要因は、恋愛や結婚以外の娯楽が増えるなどして、自分の意思で結婚しない選択をする若者が増えたからでしょうか。

A2 確かに「独身貴族」という言葉に象徴されるように「若者は好き好んで結婚をせず、悠々自適に優雅に暮らしている」といったイメージを持っている方が少なくありません。同研究所が18~34歳の男女に行った調査でも「結婚の意思がない」と答えた人は一定数います。
 ですが、「結婚の意思がある」と答えた割合は21年時点で男性81.4%、女性84.3%であり、1987年の調査から高い割合を維持し続けています。娯楽が多様化してもなお多くの男女に結婚の意思があるにもかかわらず、未婚率が上昇している。これらのデータから、現代日本では「結婚したくてもできない」若者たちが多くいることが分かります。 

(出所)国立社会保障・人口問題研究所 「第16回出生動向基本調査」(2022年)を基にウェッジ作成 写真を拡大

Q3 ではなぜ、「結婚したくてもできない」人が増えているのでしょうか。 

A3 社会経済的格差が大きく影響しています。同研究所の調査結果を分析すると、男性に関して、定職についている人ほど結婚率が高い傾向にあります。この傾向は年収においても同様にみられ、既婚男性の年収が最も高く、独身で交際相手がおらず、かつ異性との交際にも興味がない人が最も年収が低いことが分かっています。また、年収は「異性との交際に興味があるか」や「男性が同世代の人と比較して自分を魅力的と思うか」といった項目とも相関があることが分かっています。戦後のベビーブームや高度経済成長期を経験した人たちで、「自分たちの時代はお金がなくても結婚していた」「意思があれば、結婚はできる」と思う方もいるかもしれませんが、それらの時代と現代では状況が明らかに異なります。消費税や社会保障費の負担、物価は上がり続ける一方で給与に関しては変化がなく、むしろ手取りは減少しています。給与の上昇もなく老後への不安が募る中では、そもそも恋愛や結婚を諦めてしまっているのです。ある程度の年収があり、恋愛や結婚に積極的な人と、年収が低く雇用が不安定で、恋愛や結婚をしたくてもできない人という二極化が起きているのです。


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