2024年9月29日(日)

Wedge2023年8月号特集(少子化対策 )

2024年6月8日

Q4 収入の低い層で恋愛や結婚ができない人が多くいるということですね。
一方で「貧乏子だくさん」という言葉もあります。子どもの「数」に限れば、
世帯収入が少ないほど、子どもが多いという傾向はあるのでしょうか。

A4 データから見えるのはその逆で、男性においては、過去の歴史から見ても高収入・高学歴であるほど、子どもを持っているということが分かります。子どもを持たない人の割合は1943~47年生まれと1971~75年生まれを比較した場合、男性で14.3%から39.9%に、女性で11.6%から27.6%に増加しています。この変化をさらに詳しく見ると、男性はいずれの年代でも収入が高いほど、子どもを持たない人の割合が少ないということが分かります。子どもを持たない人の割合はどちらの層でも増加傾向にはありますが、その増え幅は収入が低い層で圧倒的に大きくなっています。学歴についても同様の傾向が見られます。

Q5 少子化をもたらす結婚・出産に経済的格差が大きく関与していることが分かりました。地域によっても差はあるのでしょうか。

A5 合計特殊出生率が人口を維持するために必要とされる2.06~07に達している都道府県はないため、「少子化は全国共通だ」との見方もできますが、地域によってその程度はまだら模様です。都道府県単位で見ても内情は異なります。例えば出生率が最も低い東京都でも中央、千代田、港の3区は全国平均より出生率が高く、その一方で豊島など西のエリアの出生率は低くなっています。東京23区の傾向も緩やかには世帯所得との関係性が見てとれますが(世帯所得が高いほど出生率が高い)、いずれにしても区ごとなど、それぞれのエリアのデータを詳細に分析することで、実際にどこに未婚の人や子どもを持たない人がいるのか、そうした人たちの属性がどのようなものなのかを把握していくことが必要でしょう。


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