2024年4月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月11日

 日本は、サンフランシスコ平和条約等に従い、国家間で賠償等の問題を一括処理したのに対し、ドイツは東西に分断されていたこともあって、そのような措置をとっていません。財団等を設立して補償に当たる必要が出て来るのは、そのためです。

 日本は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で請求権問題は完全かつ最終的に解決されたことになることを確認しています。これまで、韓国政府は、元慰安婦、被爆者、サハリン残留者は協定の枠外であると主張してきましたが、徴用工は協定の枠内に入るとの立場を取っています。

 戦時中の韓国人「強制労働者」に対して日本企業に賠償するよう命じた、韓国の裁判所の判決は、まだ確定しておらず、韓国政府がこの問題にどのように対応するかも不明ですから、現時点で日本が軽率に動くべきではありません。

 スナイダーは、財団設立をもって、全ての補償問題は終結とすべきである、と述べていますが、これまでの例から考えて、韓国側がそのようにすっきりと問題を終結させるとは、なかなか考えられません。この点でも、提案は現実離れしていると言えるでしょう。


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