米中央軍元司令官のマッケンジー退役大将は、「フーシ派による攻撃が長引けば、長引く程、米軍の艦船が被害を受ける可能性が高まる」と述べている。そして、米海軍によれば紅海の航行の安全を守るために昨年11月にフーシ派の攻撃が始まって以来、450回以上の反撃を行い、200機以上のドローンとミサイルを迎撃したが、そのために10億ドル相当の武器弾薬を消費している。
米政府関係者は、既にウクライナとイスラエルから武器の補給を求められて無理をしている米国の防衛産業にとってフーシ派との衝突を続けることは困難ではないかと憂慮している。また、フーシ派がイランから受け取る武器は安価で補給は持続的であるが、米側の武器は高価であり、武器供給のサプライチェーンは逼迫している。
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依然として消えない紅海のリスク
昨年11月にフーシ派が紅海で船舶攻撃を始めた時は国際的に大きな関心を呼んだが、最近ではほとんど報じられていない。しかし、この記事の通り、フーシ派は依然として紅海で船舶攻撃を続けており、米海軍を中心とする多国籍軍が「繁栄の守護者作戦」を行って攻撃を阻止している。
国際社会が関心を失っているのは、(1)幸いフーシ派の攻撃により紅海を航行する船舶に深刻なダメージが多発しておらず、(2)紅海は、全世界の船舶の通航量の20%を占めているが、紅海ルートを代替の喜望峰ルートに変更することが可能であり、かつ運賃の増大は、大型コンテナ1つあたり100ドル程度と言われ、国際海運に対して実質的に大きなダメージを与えていないからだろう。
しかし、フーシ派と多国籍軍との戦闘は続いており、いずれ多国籍軍側の艦艇に損傷が生じるリスクは排除されない。また、昨年11月以来の戦闘で米海軍は10億ドル相当の武器弾薬を消費しているが、ウクライナとイスラエルへの武器供与で既に手一杯の米国の軍需産業は、フーシ派との戦いにまで手が回らないという、記事の指摘は重要である。米国を初めとする西側諸国はハイテク兵器をフーシ派が使う安価なドローンや巡航ミサイルに使用しているが、明らかに費用対効果が悪すぎる。