面接の場所は多くが「自宅」
事件当日、新庄さんは、平日の夜7時に対象者と自宅で面接をしていた。新庄さんのやり方は、情熱ゆえの独特のものだったのだろうか。
対象者との面接場所として最も多く使う場所を「自宅」と回答した者は、実に73.4%にのぼる。次いで多いのが「保護観察対象者の自宅」の8.1%であり、併せて8割強が自宅というプライベート空間で面接している。
面接を行う時間帯は、「平日の夜(午後6時以降)」が37.8%、次いで「平日の昼(午前10時台~午後5時台)」が26.8%、「土日祝日の昼(午前10時台~午後5時台)」が13.9%となっている。
つまり、新庄さんが行った平日夜間の自宅における面接は、少なくとも保護司制度の枠組みのなかでは、異例の対応といえるようなものではなかった。
なぜサポートセンターを利用しないのか
なぜ、自宅での面会の割合が高いのか。
法務省は、保護司と対象者が面接を行う場所として、「更生保護サポートセンター」を用意している。しかし、「利用していない」と回答した保護司が72.7%にのぼる。
利用しない理由として挙げられているのは、「自宅や保護観察対象者宅から遠いから」が67.3%、「サポートセンター以外で面接することに慣れているから」が30.9%、「夜間や土日祝日に利用できないから」が30.7%、「サポートセンターまでの交通の便が良くないから」が26.6%となっている。
わざわざ遠方のサポートセンターに足を運ぶことに疑問を感じる保護司が多いことが推測できる。
新庄さんの事例では、滋賀県の更生保護サポートセンターがあるのはJRの大津駅前で、大津市仰木にある自宅からは電車で45分、車で22分ほどの距離にある。
報道では、対象者に似た男が歩いて立ち去った防犯カメラの映像が残っていたという(読売新聞、2024年6月10日)。
対象者の住所が何処なのかはわからないので断定はできないものの、一般に保護司と対象者の家は同一の生活圏にあることが多い。新庄さんと対象者の自宅は徒歩圏にあり、気軽に行き来できる距離であった可能性は高い。