リスク管理の先にあるものは
「複数人で面接をすべきだったのではないか」「自宅に対象者を招くのは危険ではないか」「民間のボランティア頼りの保護司制度は、もはや限界ではないのか」――。
読売新聞だけでなく、報道各社の姿勢やSNSでのコメントをざっと見た限り、リスク管理や保護司制度の限界性を指摘し、再発防止策の立案を求める声が多い。それ自体は、決して間違ったことではない。事態を軽くみて問題を放置することで、第2、第3の事件発生を招くのはあってはならないことである。
しかし一方で、善意の篤志家によって積み重ねられてきた活動の歴史を振り返ることなく、対象者と向き合ってきた保護司の声に耳を傾けることもせず、訳知り顔で「リスク管理が甘かった」と断罪することもまた、軽率のそしりを免れない。
大切なことは、「なぜ1人で面接をするのか」「自宅で話をするのはなぜか」、そして、「金銭的なメリットは皆無に等しいのに、なぜ保護司は対象者と向き合い続けるのか」を学ぼうとする姿勢ではないだろうか。
次回は、保護司として活躍する人たちのインタビューを通じて、今回の事件を改めて捉え直していきたい。