2024年11月22日(金)

新しい〝付加価値〟最前線

2024年7月8日

行動するときは「28℃」、では睡眠時は何度?

「暑くて寝られない……」。夏になると誰もが経験する。睡眠という行為は、体を動かさない状態、つまり体温が低め=行動時より体を冷やすことにより、スタートするからだ。冷やすとは書いたが、実際は、体温の下がりは1℃以下。変温動物ではないので、大きくは変わらない。

 この時、ラジエーターの働きをするのが手足だ。運動したあと、手足が暖かくなることがあるが、それは手足から放熱しているからだ。

 では、睡眠時は、どれくらいの室温がいいのか? 体温が36℃の時、布団の中33℃が良いとされている。それを実現する室温は、27〜29℃となる。個人差はあるものの、28℃という温度は、昼夜を問わず、夏場の快適な温度となる。

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 このように28℃をうまく使うと、かなり快適に過ごせそうだ。では、なぜエアコンで冷えすぎたりするのか? それは、エアコンの温度センサーがエアコン内部にあるからだ。加えて、人は暑い時、例えば、風呂上がりや、外出先から帰ってきた時、冷気を直接浴びたいと思うことがあるからだ。

 元々、エアコンは部屋の温度をコントロールするために開発された。人は、その部屋の一部というわけだ。理想を言うと、エアコンから出た空気は、天井を這うように対面の壁に当たる。そして、下へ。そして人により温められた空気は上へ。この対流(気流)が夏場の基本となる。

 しかし実際は、前述の通り、人はエアコンで冷えた空気を浴びようとする。直接、上から下へ。部屋の天井や隅へと空気は流れない。となると部屋の上には設定温度以上の空気があり、エアコンがある位置に溜まることになる。となると、その高い温度でエアコンは動作してしまう。28℃以上なので、エアコンは、冷やすことをやめない。必要以上に冷たい空気で部屋を冷やそうとする。つまり、過剰に冷えた温度の空気を出し続けるのだ。

 一方、人の体は夏場になると、副交感神経が活発に働き、血管を拡張させ体内の熱を汗と共に外に出そうとする。しかし、エアコンで体が冷えると、反対に体温を逃がさないように交感神経が働いて血管を収縮させる。そのため血流が悪化し、冷えなどの症状が起こる。

 ところが外に出ると、うだるような暑さで、副交感神経が活発に働く。極端な温度差だと、機械のような切り替えができない自律神経(交感神経、副交感神経)は大いにストレスを感じ、まっとうに働かなくなる。自律神経は、胃腸の働きやホルモン分泌の調整などの機能も担っている。そのため全身が不調という症状、軽い自律神経失調症が出る。

 それでなくてもストレスの多い現代社会で、自律神経はやられ気味だ。それに温度差が拍車をかける。このため、お医者さんにかからなければならないほど、ひどい不調になる人もいる。


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