2024年7月22日(月)

BBC News

2024年7月22日

コートニー・スブラマニアン、BBCニュース

米民主党ではここしばらく、ジョー・バイデン大統領に大統領選撤退を求める声がひっきりなしに飛び交っていた。それに対して、大統領を支えるホワイトハウス幹部や選挙対策幹部はここ1週間、バイデン氏は今後も選挙戦を戦い続けるつもりだと力説し続けていた。

実に20日の時点でも側近たちは、大統領が週明けにホワイトハウスに戻った時点で見てもらおうと、選挙活動の予定表を組んでいた。新型コロナウイルスに感染した大統領は東岸デラウェア州の海辺の別荘で静養しながら、自分は今後も選挙戦を戦い続けると力説していた。そして、自分に撤退圧力をかける民主党内の声が次第に世間に伝わり始めていることに、バイデン氏は激怒していた。

しかし、21日朝の時点で、大統領の考えは変わっていた。

バイデン氏は20日夜、撤退すべきか考え始めた。50年におよぶ政治家人生において、特に厳しい決定の一つだった。最も親しい顧問の一人、スティーヴ・リシェティ氏を含む、ごく少数の身近な側近たちを集めて、大統領は話し合った。そこにはほかに、マイク・ドニロン首席戦略官、アニー・トマシーニ大統領首席補佐官代理、アンソニー・バーナル大統領夫人首席補佐官がいた。側近たちはデータを微細に精査し、今の政治状況でバイデン氏がドナルド・トランプ前大統領を倒せるかどうか検討した。

そして21日朝、バイデン氏は撤退を決定した。ジェフ・ザイエンツ大統領首席補佐官、ジェン・オマリー・ディロン選対本部長、そしてカマラ・ハリス副大統領にそれぞれ個別に電話をして知らせた。21日の出来事の推移に詳しい消息筋が、BBCに明らかにした。

米東部時間21日午後1時45分(日本時間22日午前2時45分)、大統領はホワイトハウス幹部や選対幹部とビデオ会議を開いた。そこにはホワイトハウスの広報戦略を取り仕切るアニータ・ダン顧問もいた。そしてその数分後に大統領が発表した声明は、アメリカ政治に激震を走らせ、2024年大統領選の展望を揺るがした。

「ここ数日、自問自答していたのだそうだ」と、ホワイトハウス幹部はBBCに話した。「ほとんど口外せずに、自分の中で決心していた」。

撤退を発表した最初の声明文にハリス副大統領についての言及はなかったが、その約30分後、副大統領を支持するとバイデン氏はソーシャルメディアに書いた。この日の衝撃的な発表に先駆け、正副大統領はこの日、何度も話をしていたのだと、複数の消息筋は言う。

ファーストレディのジル・バイデン氏は声明で、夫の撤退を支持すると表明した。大統領が決心するに至った中で、大きい要因となったひとつが、ジル夫人の助言だったとされている。

「本人にしか決められないことで、その決心に至る直前まで、彼女は夫がどういう道を選んでも支えるつもりだった」。ジル夫人を担当する広報部長、エリザベス・アレキサンダー氏はこう言う。

「彼女は誰よりも(大統領を)信じて擁護して、常にすぐそばにいた。結婚して50年近く連れ添ってきた人にしかできない、全面的に信頼されている人ならではの形で」

ホワイトハウスや選対関係者のほとんどは、バイデン氏の決定を事前に知らされていなかった。そのほとんどはソーシャルメディアへの投稿で知ることになった。

ザイエンツ首席補佐官は、ホワイトハウス関係者と電話会議を開いた。さらに、ホワイトハウスのウェストウィング(執務棟)で働く職員全般にメールで連絡し、大統領の発表の通りだと事実確認をしたうえで、全員が一生懸命働いていることに感謝した。ザイエンツ氏は、政権幹部との電話会議も司会した。

ホワイトハウスの発表によると、バイデン大統領はこの間、何人かの民主党議員や知事や支持者と話をした。21日夜と22日にも引き続き、バイデン大統領は関係者に電話をかけ続ける予定という。

自分が民主党の大統領候補指名を受けるに「ふさわしい」ことを示して、指名を獲得するつもりだと表明したハリス副大統領は21日午後、自分への支持を固めるため、複数の議員や知事、民主党幹部に次々と電話をし続けた。

ハリス氏はすでに、大統領や民主党幹部の支持を得ている。しかし、8月の民主党全国大会で過半数の党代議員が彼女をバイデン氏の代わりに党の候補にすると投票しない限り、副大統領が大統領候補になると確約されているわけではない。

これまでのところ、バラク・オバマ元大統領がハリス氏支持を言明していないことが目立っている。ビル・クリントン元大統領とヒラリー・クリントン元国務長官は夫妻合同の声明で、ハリス氏支持を明らかにした。

まだほとんどの人が今回の展開をかみしめていた21日午後、民主党の選対幹部は電話会議で、これから「全速力」で副大統領を応援していくと強調した。

会議の内容を知る消息筋によると、オマリー・ディロン選対本部長は、「ここにいる全員、どこから来た人でも全員、ここにいるのはジョー・バイデンとカマラ・ハリスのためだし、全員がドナルド・トランプを倒すためにここにいる。今日は確かに物事が大きく移行する変化の日だが、なぜ自分がここにいるのか、何のためにみんなしてここにいるのかは、何ひとつ変わっていない」と述べた。

「これから進む道は、全員が一丸となって進む道だ」とも、選対本部長は強調したという。

(英語記事 Biden's momentous and 'closely-held' decision surprises own aides

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cv2gjzkkyzyo


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