快楽計算では、幸福・快を「強度(どれだけ強いか)」「持続性(どれだけ続くか)」「確実性(確実に手に入るか)」「遠近性(すぐに手に入るか)」「多産性(他の快も生み出すか)」「純粋性(純粋な快なのか、不快も含まれているのか)」「適用範囲(どれだけ広く行き渡るか)」の7つの項目で採点し、合計点を算出します。例えばスマイルバーガーはかなり美味しいので強度8、でも食べたらなくなるので持続性は1、お金を払えば手に入れられるので確実性は9ですぐ手に入るので遠近性も9、ひとつ買うとおまけで呪術廻戦グッズがもらえるので多産性は7、ただし高カロリーというデメリットがあるので純粋性は3、私以外への広がりは特にないので適用範囲は1。ということで、スマイルバーガーの総合快楽度は、38!というように評価を出します。
快の合計点が最も高くなるように行動する
快楽計算では、食べ物でも娯楽でも、ジャンルが異なる快も同じ基準・単位で計算します。「人の点数」ですら、計算基準は同じです。
じゃあ今度は、私の彼女の点数も出してみましょうか。私の彼女はめっちゃかわいいので強度は10(エッヘン!)、お店に通い続ける限りは会えるので持続性は9、ただお店を辞めちゃう可能性はあるので確実性は5、歌舞伎町までは電車で2時間かかるので遠近性は3、彼女を訪ねればお酒も飲めるので多産性は6、ただしセット料金に指名料にプレゼント代にと高額の出費がデメリットなので純粋性は2、私以外にもたくさんのお客さんを癒してあげているようなので適用範囲は10。合計は、45点。さすが、スマイルバーガーには楽勝だぜ‼
………………。
え、なんですか? はい。そうですよ。仰る通り、お店の女の子を彼女だと思い込んでいるだけですよ。はいはいそうですね、別にいいでしょ妄想で恋愛するくらいっ‼ そういうところでしょ歌舞伎町のお店っていうのは‼ お金払ってるんだから夢くらい見させてよ‼ 新システムのボトルサブスクも申し込んで売り上げに貢献してるんだからなっ(涙)!!!
ちなみに私自身の人としての点数は合計10点です(遠近性のみ10、他は0)。
……まあ、倫理が崩壊したおじさん(私)の話はさて置いて、この快楽計算を使い、みんなの快の合計点がもっとも高くなるように行動しようというのが、功利主義、「最大多数の最大幸福」の考え方です。休日に「1日中家でゴロゴロして英気を養う」のがいいのか、「午前は掃除をして午後はジムに行く」のがいいのか「日帰りで鎌倉観光に出かける」のがいいのか、それぞれ点数をつけてみて最高値のプランを選ぶ。これが功利主義です。
【後編】へ続く