2024年7月23日(火)

BBC News

2024年7月23日

デイヴィッド・グリッテン(ロンドン)、ラシュディ・アブ・アルーフ(イスタンブール)

イスラム組織ハマスが運営するパレスチナ自治区ガザ地区の保健省は22日、同地区南部ハンユニス周辺で、イスラエル軍の攻撃によって少なくとも70人が殺されたと発表した。

イスラエル軍は22日午前、ハンユニスの東郊から「大規模なテロリスト活動とロケット弾の発射」があったと発表。住民に対し、アルマワシの「修正された」人道地域へ向かうよう命令した。

その後、この地域で激しい爆撃が行われた。イスラエル軍は、「テロリストとインフラを排除した」としている。

イスラエル軍の活動を受け、数百人が徒歩や車で避難した。

ガザ地区の保健省は、この攻撃で70人が殺されたほか、200人以上が負傷し、その多くが重傷だと説明した。負傷者はハンユニス西部のナセル病院に運ばれたが、同病院はすでに満床だという。保健省は人々に献血を呼びかけている。

パレスチナ赤新月社(PRCS)も、運営するアル・アマル病院がさらに5人の死者と33人の負傷者を収容したと発表した。

PRCSはまた、ハンユニスから東へ約2キロに位置するマアンとバニ・スハイラにある診療所が、イスラエルによる避難命令を受けてサービスを停止したと述べた。イスラエル当局は、この命令は病院には適用されないとしている。

医療関係者や住民がロイター通信に語ったところによると、バニ・スハイラでは戦車の砲撃で大勢が殺された。一方ハマスの軍事部門は、イスラエル軍の戦車を標的にしたと発表した。

アブ・ハリドと名乗った男性は、「まるで終末の日のようだ」と語った。「人々は銃撃の中を逃げ惑い、道路では多くの死傷者が出ている」。

イスラエル国防軍(IDF)は22日夕方、「テロリストがハンユニスで活動し、ロケット弾を発射していることを示す情報と、ハマスが同地域で部隊を再編成しようとしていること」を受け、地上と地下で作戦を開始したと発表した。

また、「イスラエル南部ニリムに向けて飛翔体を発射した地域を含む、ハンユニスの30以上のテロ・インフラ施設」を航空機と大砲で攻撃したほか、武器庫や監視所、トンネル坑などを攻撃したと付け加えた。

ハンユニスの大部分は、4月に終了したイスラエル軍の作戦で破壊されたが、5月初旬に同軍が近隣のラファで作戦を開始した後、大勢の人々が戻ってきた。

しかし今月に入り、IDFがハンユニス東部の他の地区やバニ・スハイラを含む近隣の町や村に新たな避難命令を出したため、人々は再び住む場所を追われている。

イスラエルは、アルマワシからデイル・アル・バラの中心街まで海岸沿いに広がる地域を人道地域に指定している。国連は、人道地域はすで避難民のテントでごった返しており、基本的なサービスや重要なインフラが不足していると警告しているが、イスラエル軍はこの地域への避難を命じた。

マフムード・アブ・サクルさん(46)はBBCの取材に対し、自分は家族と共に22日にバニ・スハイラを脱出し、現在は人道地域の「路上に座っている」と語った。

「誰もテントを買うことができない。たとえお金があっても、新しいテントを張る方法はどこにもない」

「国境に駐留しているイスラエルの大砲は、朝から私たちの町を砲撃している。私たちは昨年11月にラファに避難し、軍の命令を受けて町に戻った。そして今日、携帯電話にまたメールが届いた」

「安全な地域などない。すべてうそだ」

IDFは、「民間人への被害を軽減し、戦闘地域から民間人を遠ざけるため」、人道地域の東部から一時的に人々を避難させたと説明した。また、ハマスが民間人を人間の盾にしていると非難したが、ハマス側はこれを否定している。

これに対してハマス側は国際社会に対し、「シオニストによる、我々の人々に対する一連の組織的な殺戮(さつりく)を止めるため、緊急に行動を起こすべきだ」と呼びかけた。

イスラエルは、ハマスや同盟組織の戦闘員が人道的地域で活動していると主張し、この2週間、これら戦闘員を標的とした空爆を数回行っている。

ガザの保健省は13日、イスラエル軍がアルマワシにいたとするハマスの軍事部門トップ、モハメド・デイフ氏を狙った攻撃で、90人以上が殺されたと発表した。

IDFの報道官は19日、犠牲者の中にデイフ氏が含まれている「兆候が強まっている」と述べた。また、ハマスのハンユニス旅団の司令官が空爆で死亡したこともあらためて認めた。

ハマスは昨年10月7日にイスラエルを襲撃し、約1200人を殺害、251人を人質として連れ去った。

これを受けた始まったイスラエル軍の攻撃により、ガザ地区ではこれまでに3万9000人以上が殺されたと、ガザの保健省は報告している。このデータでは戦闘員と民間人を区別していない。

IDFは22日、情報機関からの情報で、ハマスに捕らえられたイスラエル人の人質2人の死亡が確認されたと発表した。

声明によると、ヤゲブ・ブフシュタブ氏(35)とアレックス・ダンシグ氏(76)の死亡状況について調査が行われている。ダンシグ氏はポーランドとの二重国籍だという。イスラエル・メディアは軍関係者の話として、このうち少なくとも1人はイスラエル軍の銃撃によって死亡した「可能性が高い」と伝えている。

人質・行方不明者家族フォーラムは声明で、「ヤゲブとアレックスは生きたまま連れ去れた。生きたまま家族と国に戻るべきだった」と述べた。「捕らわれの身のまま彼らが亡くなったことは、交渉における足の引っ張り合いがもたらした悲劇的な結果だ」。

同団体は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、ハマスとの停戦と人質解放の取り決め案を直ちに承認するよう要求した。

首相官邸は21日、ネタニヤフ氏がイスラエルの交渉チームと綿密な話し合いを行い、今週後半にカタールとエジプトが仲介する次の間接協議に参加するよう指示したと述べた。

イスラエルによると、ガザ地区では現在も116人の人質が拘束されており、うち44人は死亡したと推定されている。10月7日以前に誘拐された人質も4人おり、そのうち2人は死亡したとみられている。

IDFは22日、イスラエル軍がガザ市に向かっていた認識票を着けた国連の車列に発砲したという報告について調べていると述べた。

国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ代表によると、21日にワディ・ガザ(ガザ渓谷)の南側にあるイスラエルの検問所付近で待機していた装甲車に、少なくとも5発の銃弾が命中したという。車両は大きく損傷し、国連職員は身を隠さなければならなかったが、死傷者はなかった。

ラザリーニ代表は、車列の移動はイスラエル当局と調整されていたと述べ、「責任者は責任を負わなければならない」と要求した。

(英語記事 Israel orders evacuation of part of Gaza humanitarian zone

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cl7yxq1q121o


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