2024年7月23日(火)

BBC News

2024年7月23日

ジョージ・ライト、BBCニュース

デンマーク領グリーンランドの警察は21日、反捕鯨活動家のポール・ワトソン容疑者(73)を、日本の国際手配に基づいて拘束したと発表した。

ワトソン容疑者は反捕鯨団体「シー・シェパード」の創設者で、米テレビのリアリティー番組「ホエール・ウォーズ」のスターとしても知られる。

警察は声明で、容疑者がグリーンランドの首都ヌークに船を停泊させた際に拘束したと発表した。

「キャプテン・ポール・ワトソン財団」によると、ワトソン容疑者は、以前に南極地域で反捕鯨活動を行なったことに対して国際刑事警察機構(ICPO)が出したレッド・ノーティス(赤手配書)に関連し、拘束されたとみられる。

警察は容疑者について、地方裁判所に移送されるとしている。日本への身柄引き渡しについて決定が出るまで拘束するよう要請されているという。

ワトソン容疑者の財団がXに投稿した映像には、容疑者がジョン・ポール・デジョリア号の船上で手錠をかけられ、警察車両で連行される様子が映っている。

同財団の船舶オペレーションのディレクター、ロッキー・マクリーン氏は、「レッド・ノーティスが数カ月前に消えていたので、完全にショックを受けている」とする声明を発表。

「レッド・ノーティスが消し去られたか、機密扱いにされた可能性があっただけに驚いている。ポールに誤った安心感を与えるため、日本が機密扱いにしたのだと今では理解している」とした。

また、「私たちはデンマーク政府に対し、ワトソン船長を釈放し、この政治的動機に基づく要求を受け入れないよう強く求める」とした。

グリーンランドはデンマークの自治領で、自治政府と独自の議会を持つ。

日本の捕鯨工船妨害の途中か

ワトソン容疑者に対するレッド・ノーティスは2012年に出された。ICPOは容疑者について、2010年に南極海で日本の捕鯨船に対して2件の事件を起こし、損害と傷害を与えた容疑で、日本の海上保安庁から手配されていると説明した。

日本政府はコメントを出していない。日本の海上保安庁の報道官はAFP通信に、容疑者の拘束について認識していると述べた。

容疑者の財団によると、容疑者は「北太平洋で日本の新しい捕鯨工船『関鯨丸』を妨害する」途中だったという。

同船は5月に日本を出港。小型船が捕獲し殺したクジラを解体している。

活動家らは、2019年以前は同船の前身を標的にしていた。日本は当時、「科学」調査が目的だとして、南極や北太平洋でクジラを捕獲していた。

日本は2019年に国際捕鯨委員会を脱退。現在は自国の海域でのみ、持続可能な規模だとする商業捕鯨を実施している。

しかし、ワトソン容疑者の財団は、日本が早ければ来年にも、南極海と北太平洋での遠洋捕鯨を再開する予定だとみている。

同財団は声明で、ワトソン容疑者に対するレッド・ノーティスの「再活性化」は、「政治的動機に基づくもので、新たに建造された鯨類処理工船の進水と時期が重なっている」と主張した。

ワトソン容疑者は、数十年にわたる活動で世界中に支持者がいる。ただ、攻撃的な戦術により批判を受け、法的問題にも直面している。

そうした批判は、環境NGO「グリーンピース」からも出ている。ワトソン容疑者は同NGOの共同設立者だと主張しているが、同NGOは否定している

(英語記事 Veteran anti-whaling activist arrested in Greenland

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4ng4817klpo


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