2024年7月24日(水)

BBC News

2024年7月24日

ジョナサン・ビール防衛担当編集委員、イアン・アイクマン(BBCニュース)

イギリスは3年以内に戦争ができるよう準備しなければならないと、同国陸軍の新トップが23日に語った。

6月に陸軍参謀総長に就任したローランド・ウォーカー陸軍大将は、「ますます不安定になる」世界におけるさまざまな脅威に対して警告を発した。

一方で、戦争は不可避ではないと述べ、陸軍には紛争を避ける準備をするのに「十分なだけの時間」があるとした。

そして、2027年までに陸軍の戦闘力を倍増させ、10年後までには3倍にすることが準備の核となるとした。

ウォーカー大将は23日の就任後初の演説で、イギリスは「激動の枢軸」による危険に直面していると述べた。

また、今後数年間にイギリスが直面する主要な脅威のひとつは、怒りに燃えるロシアだと強調した。ロシアについては、ウクライナでの戦争の勝ち負けにかかわらず、同国を支援した西側諸国への報復を探る可能性があるした。

「問題は戦争がどのように終わるかではない。ロシアは客観的、あるいは絶対的に今よりも弱い状態で、戦争から立ち上がるだろう。それでもなお非常に危険な存在であり、ウクライナを助けるために我々がしたことに対して、何らかの報復を欲している」

ウォーカー氏はさらに、中国は台湾を奪うつもりであり、イランは核兵器を追求する可能性が高いと警告。これらの国々による脅威は、向こう3年以内に特に深刻なものとなる可能性があると指摘した。

また、これらの国々はウクライナでの戦争以来、武器や技術を共有する「相互取引関係」を築いてきたと述べた。

しかし、イギリスが戦争回避のための抑止戦略を支える、信頼できる陸上戦力を再確立すれば、戦争への道は「不可避」ではないと述べた。

演説の中でウォーカー氏は、現在7万人強の正規軍を 「中規模軍」と表現したが、追加の予算や兵力を直接的に求めはしなかった。

一方で陸軍の迅速な近代化が必要だと強調。規模よりも、人工知能(AI)のような技術や、火力に重点を置くべきだと述べた。

最終的には、陸軍が自軍の3倍規模の敵を撃破できるようになることが、自分の野望だと、ウォーカー氏は説明した。

そのためには、ウクライナでの戦争から得た教訓を生かし、より速く、より遠くの標的を狙えるようになることが重要だという。

イギリスの労働党新政権は1週間前に、軍が直面する課題を「あらためて見直す」ため、防衛政策の「根源的かつ包括的な」再評価に着手した。

ジョン・ヒーリー国防相はこの見直しにあたり、軍隊の現状を「空洞化」と表現し、「調達の無駄と士気の低下を続けることはできない」と述べた。

2024年4月に発表された国防省の最新データによると、英陸軍の正規軍(グルカ隊と志願兵を除く)には現在、7万5325人が所属している。

正規軍の人員数はここ数年、採用が定着に追いつかず減少している。保守党の前政権は、2025年までの目標人員を8万2000人から7万2500人に削減していた。

北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、2024年までに国内総生産(GDP)の2%以上を防衛費に充てることを誓約しているが、いくつかの国はこの目標を達成できそうにない。

イギリスは現在、GDPの2.3%を防衛に費やしている。キア・スターマー首相は以前、国防見直しでこれを2.5%に引き上げるという目標への「ロードマップ」を示すと述べているが、この公約の期限はまだ示されていない。

(英語記事 UK must be ready to fight war in three years, says Army head

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/ced35dggz0eo


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