2024年7月24日(水)

BBC News

2024年7月24日

米大統領選挙の民主党大統領候補に指名されるのに必要な党代議員の過半数の支持を確保したと報じられたカマラ・ハリス米副大統領は23日、激戦州のウィスコンシン州で初の選挙集会を開いた。ハリス氏は、11月の本選は元検事と有罪評決を受けた重罪犯の二者択一になるとし、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領への非難を展開した。

ウィスコンシン州での集会には約3000人が集まった。カリフォルニア州司法長官などを歴任したハリス氏は、共和党の対立候補を自身が訴追してきた詐欺師たちになぞらえた。

こうした中、共和党のトランプ候補は、メキシコと接する南部国境をめぐるハリス氏の実績を非難し、ソーシャルメディアにこう投稿した。「うそつきのカマラ・ハリスは触れるものすべてを破壊する!」。

大統領選をめぐっては、6月末のトランプ候補とのテレビ討論会で惨憺(さんたん)たる結果に終わったジョー・バイデン大統領に対し、民主党幹部や献金者らから、選挙戦から退くよう求める圧力が高まっていた。バイデン氏は21日に撤退を表明し、後任候補としてハリス氏を支持するとした。

翌22日には、ハリス氏が民主党大統領候補に指名されるのに必要な党代議員の過半数の支持を獲得したと、BBCがアメリカで提携するCBSニュースが報じた。

発足したばかりのハリス陣営は、バイデン氏の撤退後36時間で1億ドル(約155億円)を超える驚異的な資金を集めた。

ロイター通信と調査会社イプソスによる新たな全国世論調査では、ハリス氏の支持率は44%と、トランプ候補(42%)を2ポイントリードしていることが示された。

ウィスコンシン州ミルウォーキー郊外の高校で、拍手喝采を浴びて登壇したハリス氏は、カリフォルニア州司法長官としての経験を強調した。

「私はあらゆるタイプの加害者を扱った。女性を虐待する捕食者や、消費者を食い物にする詐欺師。自分の利益のために規則を破って不正を働く者を」

そして、「私はドナルド・トランプがどういうタイプか知っている。つまりそういうことだ」と付け加えた。「この選挙戦で私は誇りをもって、いつどんな時でも、私の実績で彼に対抗すると約束する」。

これに対し、観衆は「カマラ! カマラ!」と叫んで応えた。こうした観衆の熱狂ぶりはバイデン氏の選挙イベントとは対照的だったと、一部観測筋は指摘した。

共和党の対立候補の名前があがった際には、多くの参加者が「(トランプ候補を)収監しろ」という声が上がった。

こうした光景は、2016年の大統領選でヒラリー・クリントン氏(民主党)と争ったトランプ候補の選挙イベントでもみられた。

ハリス氏は勢いを維持できるか

トランプ候補は、ハリス氏は米国史上最も不人気な副大統領だと示す世論調査結果を、自らのソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。

さらに、ハリス氏が上院議員だったころ、超党派の連邦議会監視サイト「GovTrack.us」で、数十人の民主党上院議員の中で最も左寄りだと評価されていたと指摘する内容も投稿した。

ハリス氏は演説の中で、銃規制や人工妊娠中絶へのアクセス、子供の貧困、労働組合の権利、手ごろな医療サービスなど、リベラルな優先事項を数多く提示した。

また、「我々が暮らしたいのは、自由と思いやり、そして法の支配が存在する国なのか。それとも、混乱と恐怖と憎しみが存在する国なのか」と問いかけた。

ハリス氏が今後もこの勢いを維持できるのかは不明だ。23日に公表されたメモの中で、世論調査の専門家トニー・ファブリツィオ氏は、ハリス氏と有権者との「ハネムーン」期間はやがて終わり、「バイデン氏の(政治)パートナーとしての副大統領の役割に、再び焦点があてられるだろう」と予測している。

トランプ陣営はハリス氏を非難

トランプ陣営はメキシコ国境における記録的な不法移民の流入を食い止めるための政策で、ハリス氏は「失敗」したと非難している。また、バイデン氏とハリス氏による政権が犯罪とインフレ対策で成果を出せていないと非難するつもりだとも示唆している。

23日午後に送信したメールの中で、トランプ陣営はハリス氏が「殺人やレイプ、そのほかの暴力行為で訴追された犯罪者」を保釈し、イスラエルを侮辱し、バイデン氏の「認知機能の低下」について米国民をあざむいていると非難した。

トランプ候補は記者団との電話会見で、ハリス氏について、「彼女は急進左派だが、この国は急進左派の人物に破壊されることを望んでいない」と述べた。

「彼女はバイデンよりは(打ち負かすのが)楽なはずだ。彼はやや主流派寄りだったが、それほどでもなかった」

トランプ候補はまた、当初は米ABCニュースでのバイデン氏との討論が予定されていた9月に、ハリス氏と討論することに前向きだとも語った。

「私はまだ何にも同意していない」、「ジョー・バイデンとの討論には同意していた。しかし、彼女と討論したい。彼女相手でも何も変わらない」とした。

民主党幹部や著名人、ハリス氏への支持表明

ハキーム・ジェフリーズ下院院内総務やチャック・シューマー上院院内総務など、ほとんどの民主党議員は、すでにハリス氏への支持を表明している。

米俳優で民主党への著名な献金者として知られるジョージ・クルーニー氏や、歌手・俳優・映画監督のバーブラ・ストライサンド氏、俳優ジェイミー・リー・カーティス氏らハリウッドスターもハリス氏を支持しており、同氏の選挙陣営に多額の寄付が集まる可能性がある。

ハリス陣営はまだ副大統領候補について検討している。

バイデン氏は24日にホワイトハウスの大統領執務室から演説を行い、選挙戦撤退の決断について説明する予定。

先週に新型コロナウイルスの検査で陽性と確認され、自宅で隔離していたバイデン氏は23日にホワイトハウスへ戻った。

こうした中、議会下院では共和党議員がハリス氏を弾劾訴追する決議案を提出した。

アンディ・オグルス議員(テネシー州)が提出したこの決議案は、国境での入国管理に関するハリス氏の対応をめぐる重罪や軽罪を指摘している。同決議案が可決される可能性は低いとみられている。

(英語記事 Kamala Harris slams Trump at first rally as he hits back

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c51yjyvy14yo


新着記事

»もっと見る