2024年7月24日(水)

BBC News

2024年7月24日

パレスチナ自治区で対立しているイスラム組織ハマスと自治政府主流派のファタハが、中国の仲介で北京で協議した。ガザ地区で続くイスラエルとの戦争の終結後、占領下のヨルダン川西岸とガザ地区に暫定的な「国民和解政府」を樹立することで同意した。中国の王毅外相とハマス当局者が23日に発表した。

北京で3日間にわたって開かれた会議には、パレスチナの他の12のグループも参加。代表らは、結束に向けた取り組みを約束する宣言に署名した。

ハマスとファタハはこれまでも何度か和解で合意しているが、長年の対立の解消には至っていない。

イスラエルは、ガザ地区での戦闘の終了後、ハマスやファタハがガザを統治することは認められないとしている。

中国は、イスラエルとハマスの紛争で和平を仲介したいと考えている。パレスチナの結束がその鍵になると考えており、4月にもハマスとファタハの協議を開催した。

中国外務省の毛寧報道官は23日、「中国とパレスチナは信頼できる兄弟であり、良きパートナーだ」とし、中国はパレスチナの結束と和解に向けて「すべての関係者と不断の努力をする」と述べた。

ロイター通信によると、王外相は宣言が署名されたあと、「和解はパレスチナ各グループの内政問題だが、同時に、国際社会の支援なしには達成できない」と述べた。

王氏はまた、ガザでの戦争に対処する3段階の計画について概要を説明。恒久的な停戦の促進、「パレスチナ人がパレスチナを統治する原則」の支持、パレスチナ国家を2国家解決策の一部として認めるとともに同国家の国連への正式加盟も認める――ことがその内容だとした。

中国のパレスチナ支援は、中国共産党の指導者であった毛沢東の時代にまでさかのぼる。毛沢東は、世界中のいわゆる「民族解放」運動を支援するため、パレスチナ人に武器を送った。

今回の紛争をめぐっては、中国政府高官や習近平国家主席までもが、パレスチナの独立国家の必要性を強調している。

ハマスとイスラエルの反応

ハマスの広報担当ホッサム・バドラン氏は、今回の宣言を「パレスチナ国家統一の達成への道のりにおける、さらなる前向きな一歩」だとする声明を、ソーシャルメディアのテレグラムに投稿した。

声明は、各グループが「戦争終結に関するパレスチナ側の要求(中略)つまり停戦、ガザ地区からの完全撤退、救援と復興」で合意したと説明。

その中で最も重要なのは、「ガザとヨルダン川西岸の住民の問題を管理し、復興を監督し、選挙のための条件を準備する」、パレスチナ国民の総意による政府の樹立だとした。

こうした合意の実現には障害が多く、今回の宣言は実質的に、意思表明にとどまる。

ファタハはまだコメントを出していないが、代表して会議に参加したマフムード・アル・アルール氏は、中国によるパレスチナの大義への支援に感謝した。

一方、戦争の終結前にハマスを壊滅させると誓っているイスラエルは、北京で合意された宣言を即座に退けた。

イスラエル・カッツ外相はX(旧ツイッター)で、「(パレスチナ自治政府議長でファタハを率いる)マフムード・アッバスは、テロを拒否する代わりに、ハマスの殺人者とレイプ犯を受け入れ、自らの素顔をさらけ出した」と書いた。

また、「現実には、ハマスの支配は粉砕され、アッバスはガザを遠くから見守ることになるだろう。イスラエルの安全保障は、イスラエルの手中にだけある」とした。

(英語記事 China seeks to unite Palestinian factions with reconciliation deal

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c6p2x3zkz44o


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