2024年7月24日(水)

BBC News

2024年7月24日

イギリス議会は23日、労働党新政権の施政方針「国王の演説」について採決を行った。「国王の演説」は採択されたものの、一部の法案で造反があったため、労働党はこの議員らを党員資格停止処分とした。

造反があったのは、公的扶助の増額を第2子までとする上限を撤廃する、野党・スコットランド国民党(SNP)提出の修正案の採決。労働党はこの修正案に反対していたが、7人の労働党議員が賛成票を投じた。修正案は363対103の反対多数で否決された。

造反を受け、労働党はこの7人を6カ月の党員資格停止とした。この期間中、議員らは無所属議員として議会に出席することになる。

キア・スターマー新政権にとってはこれが初の造反であり、党員資格停止の決定は、最初の権力行使となった。

造反した中には、影の財務相経験者であるジョン・マクドネル議員も含まれる。マクドネル氏は投票に先立ち、「他党の修正案に投票するのは好きではないが、スターマー首相が『党よりも国を優先する』と言ったので、それに従おうと思う」と述べた。

また、ほぼ全ての造反者が、ジェレミー・コービン元労働党党首の派閥だった。コービン氏は2020年に労働党から除名され、現在は無所属議員となっている。今回の採決でもは、コービン氏も修正案に賛成した。

イギリス議会では通常、野党が「国王の演説」を修正し、自党の優先事項を盛り込もうとするが、ほとんど成功することはない。

子どもの貧困対策はどうなるのか

イギリスでは現在、ユニバーサル・クレジット(低所得者向け所得補償制度)や児童税額控除に加入している世帯について、2017年4月以降に生まれた3人目以降の子供に対する支払いが制限されている。

これについてはかねて、労働党の一部議員やSNPなどが、第2子までという上限を撤廃するべきだと指摘してきたが、先に発表された新政権の施政方針には含まれていなかった。

造反は7人だったが、第2子までという手当の上限に反対する労働党議員は多い。多くの議員は、労働党が今後数カ月のうちにこの上限の撤廃を決定することを望んでいる。

ある政府筋によると、この上限に関する労働党の方針は、選挙に向けて合意があり、マニフェストでも明確だったという。

政府は、上限を廃止することで「資金源のない約束」をするつもりはないと述べている。

スターマー首相は以前、子どもの貧困をなくす「特効薬」はないたが、この問題に対する労働党議員の「情熱」は認めていると発言している。

リズ・ケンドール労働・年金相は、政府は保守党から受け継いだ「悲惨な遺産」に一朝一夕に取り組むことはできないと述べた。

一方で、労働党は子どもの貧困に取り組むことで、「大きな変化をもたらす決意」をしていると述べた。

シンクタンクの財政問題研究所(IFS)の試算によると、第2子までの上限を廃止した場合、最終的に年間34億ポンド(約6895億円)のコストがかかるという。これは、現役世代に対する給付予算全体の約3%に当たる。

(英語記事 Labour suspends seven rebel MPs over two-child benefit cap

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c3g939jp1p2o


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