2024年8月5日(月)

BBC News

2024年8月5日

イギリス各地で週末にかけて騒乱が相次ぎ、150人以上が逮捕された。イングランド北部ロザラムでは移民排斥を主張する集団が、難民申請中の人たちの宿泊施設を襲撃し放火した。キア・スターマー英首相はこの事態を受けて4日に演説し、「極右の暴徒」には「法律の全威力」をもって厳正に対応すると約束した。

週末にかけてイギリス各地で、不法移民排斥を訴える集団と、それに対抗して抗議する人たちが対峙(たいじ)した。両集団を引き離そうとする警官隊に、移民反対の集団がレンガやびん、いすなどを投げつけて、車両や建物に火をつける事態が相次いだ。イングランド北西部リヴァプールでは、図書館が放火された。

スターマー首相は4日午後に首相官邸で演説し、イスラム寺院や難民申請者が滞在しているホテルなどが襲撃され、警官が襲われている各地での事態は、暴力であり犯罪であって、抗議行動などではないと言明した。

「この国の人たちは安全に過ごす権利がある。それにもかかわらず、ムスリム(イスラム教徒)のコミュニティーが狙われ、モスク(イスラム教寺院)が襲撃されるのを、私たちは目の当たりにした」と首相は暴徒を批判した。

「他の少数派コミュニティーも、標的にされている。市内の通りで、ナチス式の敬礼が行われ、警察が襲撃され、人種差別の表現と共に無軌道な暴力が相次いでいる。なので、私はこう呼ぶのをためらわない。これは、極右の暴徒による蛮行だ」と、首相は強調した。

「暴力的な暴徒は、この国を代表するものではない」と首相は述べ、「もしも他人の肌の色や信仰を理由に他人を標的にするなら、それは極右で、私はそうはっきり言う」と言明した。

スターマー首相は、かつて2011年にイギリス各地で暴動が相次いだ当時、イングランドとウェールズの検察トップ、公訴局長だった。首相は演説でこの時の経験に触れ、「この国にはすでにこうした事態に素早く対応するための、法制度が整っている。つまり、逮捕から(中略)有罪判決まで、非常に素早く完了できるということだ」と説明。

「2011年に私は公訴局長で、私自身がその手続きにかかわっていた。暴徒たちをできるだけ速やかに法の手で裁くことができるよう、必要なことは何でもすると決心している」と首相は強調した。

政府内からは、2011年と同様、起訴手続きの迅速化のため裁判所を24時間体制にするなどの提案が出ている。また警察には、事態悪化に向けて速やかに増員する手はずも整っている。

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cg5888yn051o


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