チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年12月27日

»著者プロフィール
著者
閉じる

富坂 聰 (とみさか・さとし)

ジャーナリスト

1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国官僚覆面座談会』(小学館)、『ルポ 中国「欲望大国」』(小学館新書)、『中国報道の「裏」を読め!』(講談社)、『平成海防論 国難は海からやってくる』(新潮社)、『中国の地下経済』(文春新書)、『チャイニーズ・パズル―地方から読み解く中国・習近平体制』(ウェッジ)などがある。

 IT業界の関係者も語る。

 「百度のビジネスは“無天無法”と呼ばれるように、他の業者が規制を受けることでも、百度だけは許されることがよくありました。今回の海賊版の問題は、そうした問題の1つです。今回、“百度包囲網”を形成した連合軍は、百度が政治によって保障されたその関係に風穴を開けることを狙っています」

 李はIT界の成功者に多い“海亀(ハイクイ)組”である。北京大学で情報管理を学んだ後にニューヨーク州立大学へと進みコンピュータ科学で修士号を取得。卒業後はダウ・ジョーンズやインフォシークで働きながらハイパーリンク解析技術で特許も取得するなど順調な生活を送っていた。

 だが99年、李は米国での成功に飽き足らず自身のシリコンバレーでの経験を生かして凱旋帰国。続いてベンチャーキャピタルの支援を受けて中国で百度を設立した。帰国の決断の裏には彼の妻の強烈なプッシュがあったとされるが、彼自身は浙江大学の講演でこう説明している。

 「他人からはなぜ米国の快適な生活を捨てるのかと言われた。だが、他人の目に困難と映る道は、私にはチャンスに見える。そのチャンスを進みたくなるのが私だ」

 国内のエリートの“海亀”という意味では、経歴だけ見れば捜狐の張朝陽(ジャン・チャオヤン)と重なる。だが、2人には起業家として肉食と草食ほどの違いがある。その特徴の1つが、まさに現在問題になっている著作権へのスタンスである。十年来著作権問題で百度を批判し続ける張朝陽との違いは鮮明だ。

◆WEDGE2014年1月号より










 

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

関連記事

新着記事

»もっと見る