それは最も説得性のある戦略目的であるが、最も危険でもある。なぜなら、そのためには、制圧した地域に長期にとどまる必要がある。しかし、ロシアの反撃に持ち堪えられるのか? 補給線は長くなるが大丈夫か? マンパワー不足の状態にあるのに、新たな戦闘に兵を割くことが既に危うい状態にあるドンバス地域の前線を危うくしないのか?
ゼレンスキーのギャンブルはどう転ぶか
もし、ウクライナが制圧した地域を長期に維持することを目指すのであれば、ワシントン・ポスト紙のコラムニストMax Bootが指摘しているように、その現実性はバイデン政権の態度にかかっているのかもしれない。
Max Bootは、8月9日付けの論説‘Surprise Ukraine offensive pokes Russia’s soft underbelly’で、バイデン政権はウクライナがATACMミサイル・システムでロシア領内奥深くの滑走路その他の軍事目標を攻撃することを認める必要があり、さらに新たに供与されたF-16戦闘機でこれを支援できれば、ロシアの反撃を妨害出来るであろう、と論じている。
ゼレンスキーはその報酬はギャンブルに値すると信じてサイコロを振ったようである。この社説が同情的に指摘しているように、そのような果敢な行動も時に必要であろう。しかし、それがどういう結果となるかは予想出来ない。