利益グループとどう距離を取るか
この論説は、今の米国の政治ダイナミックス、特に民主党の経済議論の現実を知る上で、非常に興味深い。しかし、やや違和感を覚える点もある。
フォルーハーは、これまでも貿易を含め政府介入主義のバイデノミクスを擁護してきた。フォルーハーの立場は、自由主義論から振り子が反対側に振れ過ぎているように思える。市場を疑念視し、軽視している。
政府も大企業も労働者も皆広い市場の一部であり、労働者も市場の内で一定の役割を果たさない限り、政府が介入しても、関税を維持しても米国の経済問題は解決しないだろう。バイデノミクスは、ミクロ偏重の嫌いがある。
ミクロとマクロの均衡がとれた政策こそ必要なのではないか。リナ・カーン等を評価するのも民主党左派の今の反企業の風潮を示す。因みにカーンは、女性の反トラスト法学者で、まだ34歳である。
フォルーハーはハリスに、大口寄付者と距離をとること、人権等を超えて反トラスト等の経済に関心を持つこと、バイデノミクスを再確認することを助言する。16年のヒラリーの事例を繰り返してはならないが、要は利益グループの言いなりにならないということではないか。
バイデノミクス再確認は、ハリスがバイデンのクローンとの批判を招きかねないし、それには貿易欠落等の問題もある。ハリス自身の政策を打ち出すべきであり、それには世界貿易機関(WTO)活性化等が含まれるべきであろう。
また、トランプはラディカル、リベラル攻撃の構えなので、要注意だ。ウォルズの副大統領指名を受けたトランプ陣営の声明は、「ハリスと同様に、ウォルズは危険な極左」と決めつけている。