2024年9月12日(木)

勝負の分かれ目

2024年9月12日

 再演となった今年、初めて盛り込まれた宇野さんが真凜さんをリフトで持ち上げる場面も力強く披露した。たくさんの稽古と入念な準備に自信があったからこそ、人気アニメの世界観を氷上で演じ切ることができた。

 もちろん、成功裏には、仲間の存在が大きい。

宇野さんが「熱量が素晴らしい」と語ったキャスト全員

 宇野さんは前日の公開リハーサル後に「キャスト全員がかける熱量が素晴らしいです」と誇らしげに語っていた。

 「間違いなく、見に来てくださる予定の方には、期待以上のものをお届けできる自信があります。熱い生歌唱で、踊るスケーターたちのショーにもなっていて、このショーを見に来なかったら後悔させる自信があります」

 まさに宇野さんの思いが結実した2日間・4公演だった。

新たなメダルの授与

 9月10日には、日本オリンピック委員会(JOC)から北京五輪団体の銀メダルを授与された。ロシアのカミラ・ワリエワ選手のドーピング違反によって、今年7月に順位の繰り上がりが確定した。国際オリンピック委員会(IOC)が8月、金メダル、銀メダルに繰り上がった日米のメダリストを五輪開催中のパリに招待したが、多忙な宇野さんは授与式を欠席していた。

 この日、首から銀メダルを提げた宇野さんは「月日が経ってしまいましたが、オリンピックという貴重な舞台での結果を大切にしてくださり、こういうお披露目の場を設けて頂けて、フィギュアスケート日本代表の一員としてもすごくうれしく思います」と誇らしげな笑顔を見せた。宇野さんは男子シングルで、2014年平昌大会で銀、22年北京大会で銅メダルを獲得しており、団体を加えたメダル3個は日本のフィギュア勢では最多となる。

 「メダルの個数が多いというのは喜ばしいことではありますが、僕のこの銀メダルは自分にしかないストーリーがあって、重みがあると思います。シングルだけではなく、団体についても、選手も、そして見る側もすごく熱くなれるような競技になればいいなと思っています」とフィギュア界のさらなる発展にも思いを馳せた。

 プロとしての今後の目標を改めて聞かれると、「いろんな経験がこの数カ月でもできて、これから何をしていきたいかが定まったわけではないけど、自分なりの道を探していきたいと考えています。(競技者からプロへ)目線を変えれば世界はこんなにも広いと痛感している。自分が選びたい道を、自分の手で選んでいきたいと思っています」と決意を口にしていた。仲間を牽引した現役時代の活躍の勲章を手にし、プロスケーターとしての道のりが本格化していく。

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