2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年1月22日

 エコノミスト誌12月7-13日号が、米国の市長たちがビジネス誘致のために大挙して中国詣でをしている、と報じています。

 すなわち、ビジネス誘致のために自分の市を売り込もうと中国を訪れる米国市長の数は、2007年には2カ月に1人の割合だったが、2013年には10日に1人、2013年10月には3日に1人と、大変な勢いで増えている。

 中国に最初に関心が集まったのは、米国経済が急激に落ち込んだ2008年で、翌2009年から中国の対米投資が盛んになった。米商務省経済分析局によれば、中国の対米直接投資は2008年~2012年に年平均71%拡大している。

 こうした市レベルでの動きに対し、州レベルでも、新しく工場を設ける企業への税額控除や労働者訓練プログラムなどで支援し、2011年にはオバマ大統領の命令で、外国からの直接投資を促す連邦プログラム、Select USAも始まった。

 中国の関心を引く戦いは熾烈で、米国の市同士のみならず、カナダ、豪州、欧州の都市との競争でもある。最近、ロンドンの名物市長、ボリス・ジョンソンも北京市内を自転車で走り、ジョークを飛ばして愛嬌を振り撒いた。

 もっとも、市によって野心の程度は様々で、試しにやってみようというレベルから、2008年以降、中国企業30社を誘致したサンフランシスコのような市まである。同市は米国に進出する多くの中国企業の最初の拠点になることを狙っている。また、2011年には当時のシカゴ市長が、シカゴを米国中で最も中国に友好的な都市にすると宣言し、セスナ社があるカンサス州ウィチタは、中国の民間航空機のパーツ供給に注力するとして、今年10月に北京にオフィスを構えた。

 こうした誘致の動きには、当然、政治的リスクも伴う。一部の市長は、中国訪問の旅費がかさむとして批判され、イリノイ州ファーマーの市長は、外国からのビジネス誘致に市の金を使うこと自体が有権者から糾弾されて訪中を取り止めた。


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