2024年11月22日(金)

モノ語り。

2024年9月29日

ポワンエリーニュ「パン」
ポワンエリーニュのパンリスト。一度貰えば、今度はどんなパンを選ぶか楽しみになる

 「ポワンエリーニュは、パンをつくって売るだけではなく、メイドイン東京のパンを世界に発信するというコンセプトで立ち上がりました。丸の内と八重洲では、その発信するパンのスタイルが違うのです。

 丸の内は1号店ということもあって、東京駅の手土産としても喜ばれる華やかなパンを意識しています。例えば、表皮・胚芽を除いた胚乳のみを使う白い小麦粉でバターを贅沢に使ったパンなどです。

 一方で、八重洲では表皮・胚芽も含む全粒粉、おコメでいうと玄米のような小麦粉を使うなどして、日常に寄り添う滋味深いパンを楽しむことができることをテーマにしています。

 食パンはアメリカ、バゲットはフランス、ピザはイタリアだとすると、これらを上手くエディットして、新しいことができるのが東京だと思います」

独立しても「仲間」

 柏木さんにお話を聞いていて、私の会社と共通する点がありました。「独立を推奨する」ことです。カフェで経験を積んで独立する。失敗したら、また翌日から帰ってきて働くことができる。そんな仕組みをつくっています。

 「例えば、『ピヨトル』というクルミとグリーンレーズンを生地に対して200%配合した看板商品があります。これを開発したスタッフはすでに独立しています。だから、今のスタッフには、どのような思い、コンセプトでこのパンがつくられたのか分かりません。ですので、定期的に卒業生たちが店舗を訪ねてくれて、それを教えてくれるのです。Good people, Good productで、『100年以上愛されるパン屋になる』という、我々の目標を達成するための財産です」

 独立しても仲間なのです。私自身、経営者となった卒業生が、外部の目線で色々な指摘をしてくれることが本当に役立っています。

 このポワンエリーニュで、どんなお土産を買うと良いのか。おすすめなのが6点セットで、私は勝手に「ビジネスセット」と呼んでいます。①「レジェルテ」=ふわふわの生食パン、②「ソル」=全粒粉バゲット、③アンビザー=あんパン、④ピヨトル、⑤ショコラ=チョコパン、⑥レモンケーキ、です。

ポワンエリーニュ 東京ミッドタウン八重洲店
東京都中央区八重洲2-1-4 東京ミッドタウン八重洲セントラルスクエア 1F 03-6281-8910
営業時間 ベーカリー10:00〜21:00
     レストラン11:00〜22:00(21:00L.O.)
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Wedge 2024年10月号より
孤独・孤立社会の果て 誰もが当事者になる時代
孤独・孤立社会の果て 誰もが当事者になる時代

孤独・孤立は誰が対処すべき問題なのか。 内閣府の定義によれば、「孤独」とはひとりぼっちと感じる精神的な状態や寂しい感情を指す主観的な概念であり、「孤立」とは社会とのつながりや助けが少ない状態を指す客観的な概念である。孤独と孤立は密接に関連しており、どちらも心身の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。 政府は2021年、「孤独・孤立対策担当大臣」を新設し、この問題に対する社会全体での支援の必要性を説いている。ただ、当事者やその家族などが置かれた状況は多岐にわたる。感じ方や捉え方も人によって異なり、孤独・孤立の問題に対して、国として対処するには限界がある。 戦後日本は、高度経済成長期から現在に至るまで、「個人の自由」が大きく尊重され、人々は自由を享受する一方、社会的なつながりを捨てることを選択してきた。その副作用として発露した孤独・孤立の問題は、自ら選んだ行為の結果であり、当事者の責任で解決すべき問題であると考える人もいるかもしれない。 だが、取材を通じて小誌取材班が感じたことは、当事者だけの責任と決めつけてはならないということだ――

 


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