2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年10月1日

危険な賭けに出るネタニヤフ

 バイデン大統領は、自分の功績としてガザの紛争を解決したいであろうが、同時にハリス副大統領の大統領選挙での勝利の可能性を損ないたくないのでネタニヤフ首相に本気で圧力を掛けられないという指摘は恐らく正しい。他方、ハマスには余り選択肢は無い。

 武闘派のシンワル氏がハマスの指導者となったために、ハマスは徹底抗戦を続けるだろう。ハマスは、イランとヒズボラが本気でイスラエルに報復して紛争が拡大すれば、ハマスに対するイスラエルの圧力が低減すると期待していると思われる。

 そして、ネタニヤフ首相は、ガザの休戦についてはハリス候補を抱えたバイデン政権が本気で自分に圧力を掛けることは出来ないだろうと読んで、のらりくらりと対応しており、他方、少なくとも米大統領選挙前にイランとヒズボラが動かないであろうと見切って、最近もシリア領内のヒズボラの拠点を空爆ではなく特殊部隊で攻撃した。明らかに危険な賭けに出ている。中東情勢はますます不安定化の度合を増しており、一触即発の状況にあると言わざるを得ない。

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