2024年12月28日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年10月22日

 2024年9月25日付ワシントン・ポスト紙は、プーチン大統領がロシアの核ドクトリンにおける核の使用条件を拡大しようとしていることについて解説記事を掲載している。

(ロイター/アフロ・vchal/gettyimages)

 プーチン大統領は9月25日、核兵器国の支援を受けた非核兵器国の通常兵器による攻撃は、両者の共同の攻撃と見なされると述べ、西側とウクライナに新たな核の威嚇を行った。

 ロシアの国家安全保障会議において、プーチン大統領は「ロシアと同盟国にとっての軍事的脅威とリスクの新たな要因の発生」に鑑み、核ドクトリンを再検討してきたと述べた。プーチンは「新たな核ドクトリンにおいて、非核兵器国によるロシアに対する攻撃であっても、核兵器国の参加または支援がある場合には、ロシアに対する共同の攻撃と見なされるべきとすることが提案されている」とも述べた。

 プーチンは、ロシアが核兵器を発射するための条件は、「空域からの攻撃手段の大量の発射あるいはそれらが国境を越えたことについての信頼できる情報」があることであると指摘した。また、「ロシアとベラルーシに対する侵略が起こったら、ロシアは核兵器を使用する権利を留保する」とも述べた。

 このプーチン大統領の発言は、ウクライナが米国その他の支援国に対して供与兵器の使用制限を撤廃することを求めているのに対して、ロシアから核兵器に関連する威嚇が頻発される中、行われたものである。現在、ウクライナは、支援国から供与された長射程ミサイルをロシア領奥深くに対して使用することが認められていない。

 これまでの核ドクトリンは、2020年の大統領命令によるものであり、敵からの核攻撃を受けた場合ないし国家の存立を脅かすような通常兵器による攻撃を受けた場合に核兵器を使用し得ることとなっていた。ロシアのタカ派は、以前から、プーチン大統領に、核兵器の敷居を下げるよう求めてきた。


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