2024年11月21日(木)

WEDGE REPORT

2024年10月29日

 一つ目の理由は、北朝鮮で捕獲された無人機の外見が、韓国軍のドローン作戦司令部が運用する「遠距離偵察用小型ドローン」(以下「韓国軍ドローン」)に酷似するということ。ドローン作戦司令部とは、22年12月に北朝鮮の無人機がソウル上空に侵入したことを受けて創設された各種ドローンを運用する部隊だ。

 上述の韓国軍ドローンは、昨年9月に韓国軍創建75周年を記念して行われた軍事パレードで初めて公開されたソンウエンジニアリング(SWE)社製の「S-BAT」と呼ばれる機体を指す。朝鮮中央通信は捕獲した無人機と軍事パレードで公開された韓国軍ドローンの写真を掲載している。

昨年9月の軍事パレードで公開された遠距離偵察用小型ドローン(下)は平壌市内で発見された無人機と酷似している(出所:ともに朝鮮中央通信)

 韓国国会の国防委員会に所属する議員は、韓国軍ドローンの諸元を「時速140キロメートル(km)、最大離陸重量16.5キログラム(kg)、最大飛行時間4時間、最大搭載燃料4リットル(L)」と説明しているので、単純計算で560kmは飛行できることになる。

離発着は基地の近く

 二つ目の理由は、無人機が韓国の白翎島(ペンニョンド)に離着陸するようにプログラムされていたことだ。白翎島とは、NLLを挟んで北朝鮮と向かい合う韓国最北の島。ここから無人機が離陸し、プログラムされた経路を飛行して帰投するまでの距離は約430kmなので、韓国軍ドローンも飛行することができる。

 そして、何より重要なのは白翎島に渡るには仁川港から約4時間かけて船で行くほかなく、乗船に際しては身分証明書の提示が必要で、手荷物は重さ15kg、3辺の合計が1.5mに制限されているということだ。

 もし、脱北者団体や保守系団体が大型無人機を持ち込もうとしても、それは不可能だろう。


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