2024年11月20日(水)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2024年11月20日

 中央情報局(CIA)長官にはジョン・ラトクリフ元国家情報局長官が就く予定である。ラトクリフ氏も、ウイグル人に対する人道的罪とコロナを隠蔽した廉で、北京オリンピックのボイコットを主張していた。

中国と間違えて日本へも被害が

 もちろん、トランプ自身も選挙期間中から中国を批判しており、当選した暁には、中国から最恵国待遇をはく奪し、60パーセントを超す関税をかけると公約している。第一期目に大統領としてコロナ対策にあたったときには、スピーチ原稿に「コロナウイルス」とあったのを、自ら手書きで「コロナ」の部分を黒い太線で消して「中国ウイルス」と書き換えるなど、反中感情を煽った過去もある。

 一方、日本に対する言及はほどんとない。存在感がないのである。石破茂首相の面会要請が、一旦は受け入れられながらも結局は面会でできなかったのも、少数与党の首相ということもあろうが、この存在感の低下と無関係ではないだろう。

 このような反中国の布陣でトランプ政権二期目がスタートすると、米国内に反中国感情が横溢する恐れがある。コロナ禍で巻き起こったヘイトが再び巻き起こるのではないかと懸念されるのである。その時、米国の同盟国である日本の国民が中国人と間違えられて、もしくは同様な存在とみなされて被害にあう可能性も十分にある。

 米国の対東アジア関係が原因で、米国内でアジアン・ヘイトが起きた事例としては、40年ほど前に、日本車の流入によって反日感情が高まっていた時に起きたビンセント・チン事件が想起される。日本からの安くて性能のいい自動車の輸入によってアメリカ車が売れず、多くの自動車会社とその関連会社が従業員をレイオフし、荒んだ雰囲気のデトロイトでその事件は起きた。

 日本人のせいでクビになったと考えた白人に、日本人と間違えられた中国系米国人の青年がバットで殴打されて殺された。地域住民の意向が反映されやすい米国の裁判によって、加害者は罰金が科されたのみで服役することはなかった。40年たって、今度は日本人が中国人に間違えられて暴力を受けるのではないかという、日中がひっくり返った構図になったのである。

見た目では日本人も中国人もわからない

 40年前も今日もアジア人を迫害した米国人にとっては、日本人も中国人もどちらでもよかったわけだが、第二次世界大戦中、米国人が真剣に日本人と中国人を区別しようと試みたこともあった。日本は真珠湾を攻撃した憎き敵国であり、それに対して、中国はその日本と戦う米国の同盟国であったのである。

 米国において中国人を迫害してしまうと、中国人のアジアで日本人と戦う心が削がれてしまうのではないかと危惧された。日本軍は米国人の人種差別をついて、中国人に対してあなたたちは米国人の同盟国だと思っているかもしれないが、米国人からは人種差別されており、その証拠に米国に移民することも帰化することもできないではないかというビラを中国大陸でまいて米国人をいら立たせていた。

 そこで米国の雑誌は、日本人と中国人の見分け方という特集を組んだ。日本人と中国人の典型的とされる顔が大書され、目や鼻などの間隔の特徴などが分析されていた。しかし、その結果わかったことは、日本人と中国人の外見に決定的な違いは見いだせないということであった。つまり、努力して区別しようとしても一般の米国人には日本人と中国人の区別はつかないのである。


新着記事

»もっと見る