日本に居ると、どうしても日本が世界の中核といった感覚を持ちがちである。実際、国内総生産(GDP)は世界3位の規模であり、主要7カ国(G7)の一角を占めている。しかし、ここ30年の日本が世界に占める存在感の低下具合は極めて大きい。以前ほどの存在感はないのである。それに引き換え中国の存在感はよくも悪しくも急激に大きくなっており、同じ東アジアの国として日本と中国は我々が思っているほど区別されてはいない。
日本、日本人への理解を深めるには
今後、米中関係の展開次第によっては、米国における日系人や日本人ビジネスマンや留学生などの在住者、日本人旅行客などが被害にあいかねない事態に発展することが十分考えられる。コロナ禍でのアジアン・ヘイトの高まりの時期には、国際的な人の往来が大きく制限されていたので、アジアン・ヘイトの被害にあうのは米国在住者が中心であった。
現在は、国際線の便数もコロナ禍以前のレベルに戻っており、国際的な人の往来も回復している。大谷翔平の試合を見るためだけに、多くの日本人が米国を訪れているなど、コロナ禍とは大きく状況が異なるのである。
と、ここまで日本の存在感がないなどと書いたがそれは一般的な問題で、パーソナルな関係性があれば、日本と日本人に対する理解も全く変わってくるだろう。例えば留学生が、渡航先で交友関係を広げるような小さな積み重ねが一番大切なのかもしれない。そう考えると、留学生の減少を心配し、少しでも増やす努力を積み重ねるなどすべきであろう。
同様にインバウンドで来日する人々との接触も大事にすべきだろう。そのような日ごろの小さな接触の積み重ねが日本のグローバルな舞台での存在感につながっていくのではないだろうか。