2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年12月26日

 シリアはもし外部勢力のライバル関係の場所になれば、失敗するだろう。放っておかれた方が繁栄する可能性が高い。

 世界はHTSを好まないかもしれない。しかし安定する政府の創設をサボタージュすることは毒がイラク、ヨルダン、レバノンに広がるリスクを冒すことになる。もしシャラアが国家指導者となるならば、西側はHTSのテロ指定を速やかに解除すべきである。

 新しいシリアは大きな贈り物を持つ。それはイランとロシアを排斥することができる。ロシアとイランはアサドを権力の座に置くために数百億ドルも使った。しかし彼らは、独裁者を拒否した国では専制主義を維持する能力がないことを証明した。

 ロシアはその帝国的野心の現実化に失敗した。これはコーカサスと中央アジアで反響を呼ぶだろう。イランはこの1年、その代理勢力がガザ、レバノン、シリアで敗北するのを見た。中東でのイランの影響力は劇的に弱まり、トランプ新政権との交渉の可能性も出てきた。

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シャラアを後押しするべき

 この社説はアサド政権崩壊の後のシリアをどう扱っていくべきかについてEconomist誌の見解を述べたものであるが、大筋においてこの社説の見解に賛成できる。アサド政権を崩壊させたのはHTSであり、その指導者であるシャラア(ジャウラニ)を中心として次のシリアの政権ができることは、当然の成り行きである。

 HTSがテロ団体に指定されていることを理由に、シャラアとの協力に躊躇するようなことは好ましくなく、必要であれば、テロ団体指定は速やかに解除すればよい。

 シリアの今後は、この社説が指摘するように多くの困難に直面するだろう。ただシャラアが融和的で諸勢力を包摂した新政府を樹立することを望み、それを後押ししていくことが今後のシリア政策の基本であろう。


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