Economist誌11月16日号は、イランは自国へのイスラエルの報復を避けるためにイラクを利用するかも知れず、新たな代理勢力を構築しており、イラクが次の衝突の焦点となるかも知れない、とする解説記事を掲載している。要旨は次の通り。
イラク政府関係者は必死にイラクがイスラエルとイランの衝突に巻き込まれないようにしているが、彼らの努力は無に帰そうとしている。イランは米国がイスラエルのイラン攻撃に際してイラクの領空を利用させたことに対して激怒しており、イスラエルによれば、イランはイラクの代理勢力に対して長距離ミサイルと自爆ドローンを補給している。イラクはイスラエルが起こしている中東紛争に巻き込まれる次の国になるだろう。
イラン側は、最近まで「戦略的忍耐」と称してイスラエルの挑発を我慢していたが、イスラエルのレバノンのヒズボラに対する攻撃により、イランの我慢は「弱さ」の表れと受け取られて一層の攻撃を招くだけだということを学んだ。そして、イラクを利用することでイスラエルのイラン本土に対する報復攻撃を免れられるのではないかと期待している。
他方、イスラエルの指導者は、ハマスとヒズボラを壊走させた結果、より大胆になっており、イランの残りの「抵抗の枢軸」(代理勢力)も攻撃するようになった。イスラエルの安全保障関係者は、イラクの代理勢力がイスラエルを攻撃する前に先制攻撃を行うと語っている。
イラクには2つの親イラン民兵組織があるが、これらは徐々にイラク自身の国益を考えて行動するようになっているので、イラン側はイランの直接指揮命令下にあるアル・ヌジャバのような新しい親イラン民兵組織を育てている。さらに、イスラエルがガザに侵入した後、イランは、資金援助と物資補給のためのアンブレラ組織として「イラクのイスラム抵抗」を立ち上げている。