2025年6月15日(日)

トランプ2.0

2024年12月27日

日本はトランプにどのように向き合うべきか?

 前述の通り、トランプは関税を課す標的を、まずメキシコ、カナダおよび中国に置いたようだ。3カ国は第1ステージに属しているとみてよい。幸いなことに、日本は第2ステージだろう。

 トランプは自身のソーシャルメディアで、カナダのジャスティン・トルドー首相を「トルドー知事」と呼び、カナダが米国の「51州」になれば、「税金と防衛費を節約できる」と投稿して、トルドーに揺さぶりをかけている。トランプがカナダ、メキシコ並びに中国に目を向け、そこにエネルギーと時間を費やせば、日本に圧力と脅しをかける時期が遅れるかもしれない。

 その間に、日本は少しでも迎え撃つ体制を整えておく必要がある。実際、在米日本大使館は2023年から、トランプに近いロビー活動を行う会社と契約を結ぶなど、パイプ作りに注力しており、それらから得たものを活かして対策を立てて実行しつつあるだろう。

 トランプはバイデンの任期中に勃発し、彼が果たせなかったロシア・ウクライナ戦争とイスラエル・ガザ戦争の終結に強い関心を示している。2つの戦争を終わらせ、世界に平和をもたらした大統領として称賛を浴び、尊敬を得て、レガシーを残したいと考えているからだろう。

 そこで、今後、トランプはウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領にディールに応じるように圧力や脅しをかけることにエネルギーを注ぐだろう。そこで、仮にロシアとウクライナの和平協議が開催された場合、日本はトランプに協力して、彼にクレジット(手柄)を与える戦略を立てることが極めて重要になってくる。

「アキエカード」

 石破茂総理はトランプと蜜月関係にあった安部晋三元総理と比較され、同様の関係を築けないのかと批判されるかもしれない。しかし、石破はトランプと良好な関係を構築しながらも、適切な距離を保つという安倍とは異なったスタイルを取った方が効果的かもしれない。

 トランプは故安部晋三夫人の昭恵氏を信頼している。公人ではない昭恵を通じて、トランプは今後も日本側にメッセージを伝えてくる可能性がある。石破も直接トランプにメッセージを発信するよりも、まず「アキエカード」を使って、同夫人を通じてコミュニケーションをとり、トランプの反応をみるのも1つの手だろう。

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