確かに行政の仕事ではある
それでもやらねばならない
一方で、今回従事した作業に限ると、けがの危険が常に伴うものであったことは事実だ。側溝のふたの厚さは約20センチメートル。重さも20キログラムほどあり、2人がかりでも持ち上げられない。「指、気を付けて」と常に声を掛け合いながら四苦八苦した。
ボランティア保険が存在することも頷ける。「本来であれば行政が担うべき仕事ではないか」という率直な声も参加者から聞こえてきた。
前出の山下さんは言う。
「どこまでを私たちが担うのか、行政とは丁寧に協議しています。しかし、行政が『いつできるかが分からない』というのが目下の状況です。これを放置すれば、二次災害が広がるかもしれない。そうすると、町の雰囲気も風景も変わらないままです。『いつも詰まっていた側溝が流れるようになった』と、目に見えて課題が解決することで、住民たちは前を向くことができるんです」
「善意」を頼みの綱とし続けることには限界があるが、ボランティアの人々の善意が、住民たちにプラスの影響を与えていることは間違いなかった。
ボランティア当日に聞いた、ある参加者の言葉が忘れられない。
「僕の家は2018年の西日本豪雨で流されました。僕らはそのとき、義援金やボランティアの人たちの存在がなければ、生きていくことができなかった。いただいた恩義を返すためなんです。だから、ここに来たんです。返すなら、今しかない」
