2025年12月5日(金)

移民問題に揺れる世界

2025年1月19日

Case03 子育ての魅力と過ごしやすさ

匿名希望 (20代女性、在住2年)フランス在住

 学生時代から海外が好きで、アイルランドに留学した際に現在のフランス人の夫と出会い、結婚。フランスに移住し、今年出産しました。

 出産費用は無料で、社会全体で子どもを育てる意識が強いと感じます。男性の育休も当たり前で、約1カ月取得でき、日本よりも子育てしやすい環境です。しかも、私の夫の場合は週35時間労働で、1年間に9週間の休暇があり、私生活の時間が重視されているとも思います。夫は日本が好きで「日本に住みたい」と言っていますが、休日が少ないことが気がかりなようです。ただ、フランスは休暇が多いため、移住に必要な書類の手続きがなかなか進まないなど、行政サービスの質は日本のほうが上でしょう。治安も日本ほど良くないですが、それでも、私はストレスが少なく過ごせています。

フランスでは、私生活を充実させられるという(WEDGE)

Case04 自分のスキルで切り拓きたい

匿名希望 (40代男性、在住15年)豪州在住

 日本の良い製品を海外に広めたいという思いから、日本企業の海外支社のポストに転職し、豪州駐在になりました。豪州では社員を統率する管理職の立場でした。日本では、部下は上司に従うのが一般的ですが、豪州では誰に対しても自分の意見を言え、ヒエラルキーがなく、お互い対等でした。

 14年間豪州に駐在した後、日本に異動となりましたが、1年後、豪州にある日系企業に現地採用され、転職しました。日本では一般的に、新卒一括採用で長期安定雇用が当たり前です。一方、豪州はいつクビになるかわからない環境ですが、転職を重ねてスキルを身につけ、自分のキャリアを築くことができます。どちらも善しあしがありますが、自分なりに仕事で結果を出すまで、豪州で頑張ろうと思っています。

Case05 自分の匙加減で挑戦できる

田代辰海さん(30代男性、在住7年)マレーシア在住

 親が駐在していた関係でマレーシアに住み、中学校まで日本人学校に通いました。日本の高校に進学した時、上下関係と規律正しさに驚きました。その後、日本企業に就職、マレーシア駐在となりました。

 良い意味で寛容で、自分の匙加減で挑戦ができ、余裕を持って働くことができるマレーシアは、とても住みやすい国です。逆に、日本のようにバリバリ働きたい人は合わないかもしれません。今後は日本には戻らず、様々な国で経験を積みたいと考えています。

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Wedge 2025年1月号より
移民問題に揺れる世界 水面下で進む日本人の海外流出
移民問題に揺れる世界 水面下で進む日本人の海外流出

世界は今、移民・難民問題で大きく揺れ動いている。事実、2024年11月の米大統領選挙では、不法移民対策が大きな争点となった。彼らは命がけで故郷を離れ、今この瞬間も、米国や欧州大陸を目指し、移動を続けている。その光景は、戦前・戦後に日本人が「出稼ぎ移民」として、ブラジルやパラグアイを目指した姿とも重なる。翻って、現代日本。かつての状況と異なるものの、今、静かに日本人の海外流出が続き、23年の永住者は調査開始以降、最多の約57万5000人に達した。豊かで暮らしやすいと思われている日本から、なぜ日本人は〝脱出〟していくのか。彼らの動きが物語ること、そして、これからの日本社会に必要なことを考えたい。


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