「交通機関が時間通りに来る」「食べ物が美味しい」「治安が良い」――。豊かで暮らしやすいと思われている日本だが、その事実を踏まえてもなお、海外に生活の拠点を移す日本人たちがいる。
「活気に満ちていて、若い世代が挑戦しやすい」「社会全体で子どもを育てる意識が強く、子どもを育てやすい」。彼らの言葉からは、日本に足りないものが見えてくる。
今の日本人が暮らしていくうえで、働いていくうえで、本当に求めているものは何か。実際に住まないとわからない、各国の魅力、また日本との違いについて5人の当事者の本音を聞いてみた。
Case01 縛られる規則とスピード感を考えて
山内杏那さん (30代女性、在住7年)マレーシア在住
フェムテックの分野があまり発展していないマレーシアで、妊活や不妊治療に特化した事業を立ち上げました。日本とは異なる文化の中では様々な課題に直面しますが、外国人でも起業しやすく、活気に満ちた環境だと感じています。東南アジアは、若い世代が挑戦しやすい場所なのではないでしょうか。
仕事に関して、日本は丁寧に研修をしてくれますが、マレーシアでは自分で考えなければいけません。どちらも良さがありますが、日本のように規則に縛られすぎないスピード感の中で、これからも挑戦を続けたいと考えています。
Case02 日本よりも時間の価値が大きい
水田 俊さん (40代男性、在住6年)豪州在住
元々日本企業で働いていましたが、希望して豪州で働き始めました。豪州は転職が一般的なため、日本とは異なり、従業員の権利は大きく、会社は物価に合わせて賃金も上げるなど、適切な労働環境を提供してくれます。
また、豪州はプライベートの時間を大切にするので、日本ほど残業がありません。その分、残業代は高く設定されています。これは時間とお金の価値を同等と捉える感覚が根付いている表れだと感じます。意識改革は大変ですが、日本でも他国の良い文化を取り入れることはできるのではないでしょうか。